ミハラヤスヒロ(MIHARAYASUHIRO)の2015-16秋冬は、ブランドの原点に立ち返り、象徴的なアイテム、加工技法を盛り込んだ総花的なコレクションだ。
テーマは「Be Here Now」で、アメリカの神秘思想家、研究家のラム・ダスの著作からインスピレーションを受けている。これに加え、20世紀初頭のホーボー達の自由な生き方、スタイルをコレクションの中に織り交ぜてたという。
ショーは、HUMAN BEATBOXERのReatmoの心地よいビートボックスが木霊する中でスタートした。ファーストルックは、ジャケットをデニムのカバーオールとスウェットパンツでラフに着崩したスタイルだ。
全体的に目立つのは、これまで培ってきた解体・再構築の表現。デニムのヘリンボーンをパッチワークしたコート、左右のディテールをズラしたMA-1、縫い目の部分にユーズド加工を施したレザーブルゾン、ラペルやポケットの縁からデニムが覗く加工のジャケットなどが代表的なアイテム。アメリカの地名をフォトジャガードの手法で落とし込んだコートやブルゾンは、これを着てアメリカをロードトリップしたくなるような楽しい1着だ。様々な編み地をクレイジー柄に配置したニット、モヘヤのニットのコンビネゾンなど、ニットのバリエーションも充実している。
シューズは、紐の位置を斜めにズラしたブーツや、ハイカットのレザースニーカー、オールスタータイプのスニーカーなどを提案。カラーパレットは、ベージュ、グレー、デニムのブルー、ワインレッド、ブラックを中心に構成した。
Be Here Nowとは、日本語では「この一瞬を生きる」ということ。過去を振り返りつつ、それでも前に進むという強い意志をコレクションに込めたのだろう。
Text by Kaijiro Masuda(Fashion Journalist)