アレキサンダー ワン(ALEXANDER WANG)が2015-16年秋冬コレクションを発表した。
近年のファッション界をリードしてきたムーブメント「ストリート・ゴス」。これはスポーツウェアをバックグラウンドに持つストリートスタイルに、ゴシックの要素が合わさったスタイルを指す。そしてアレキサンダー ワンは、これまでリック・オウエンス(Rick Owens)らとともに、そのムーブメントを牽引してきたブランドのひとつだった。しかし今季のメンズコレクションにおいてイメージしたのは「カルフォルニアの冬」。ワンらしいわずかなモードの匂い、そしてトランスジェンダーなシルエットを混ぜ込んではいるものの、彼の中に何か変化が起こったように思える。
なぜならアメリカ・カルフォルニアと言えば、西海岸の開放的なイメージがついてまわるからだ。ビーチでのサーフカルチャーに、街中でのスケートカルチャー。そうした自由な空気感は、今季のコレクションのあちこちに取り入れられ、これまでのゴシックなイメージを振り払おうとする。
例えば、サーファーの定番・アロハシャツのようなトロピカルプリントは、オーバーサイズのシャツをはじめ、ジャケットやハイウエストのトラウザー、フード付きのブルゾンにまでオン。レッド×ブラックのストライプが映えるフーディやピーコート、バンダナ柄を織り込んだニット、レザーのバケットハットもまた、肩の力の抜けたアメリカの空気を運んでくる。
ワン得意のレザーもまた、ややアプローチを変えている。コートのバックスタイルやリュック、大ぶりのハンドバッグの素材として、象徴的に使用されたのがヴィンテージ加工のレザー。これまでのようにツヤ革のエッジィな印象ではなく、何年も使い古したような、重々しく味のある存在感を響かせた。