mame(マメ)が、2015-16年秋冬コレクションを発表した。今季も、デザイナー黒河内真衣子と共に旅をした、宮本輝の小説をもとに、物語はスタートする。
舞台は、雪が降りしきる冬の東北。一面に広がる銀世界を隔てるように広がる夜空には、星々がキラキラと輝いていた。
そんな満点の星空を描くのは、古くから伝わる「刺し子」から着想を得たステッチ。寒冷地にも関わらず、麻ばかり育つ東北地方では、生地を重ね合わせ、温かな生地へと作り変えていた。そのテクニックを活かし、太さの異なる糸で、独特な凸凹感と手刺繍のような風合いを表現する。ベースとなったラメ入りの布地が光り、この空が宇宙へつながっていることを思い起こさせてくれる。
昔の女性たちは美しさを求め「刺し子」を用いて模様を描き、「こぎん刺し」を生み出した。格子状や渦を巻くように縫い、創り出した幾何学模様は、空気を含ませるように織り上げたジャカードで表現。オリジナリティ溢れるポンチョ、へプラム風ジャケット、パンツなどが揃った。裾はフリンジ状に仕上げることで、美しい糸の流れを感じさせる。
古くなった布を裂いて織り上げる「裂き織り」からインスピレーションを得て、今季のキーを握るデニムアイテムを展開。リボン状にカットした生地を縫い合わせた、柔らかな手触りのファブリックは、ワンピースの胸元を優しく包み込む。またスカート部分には、加工で濃淡の違いを表現し、ポケットのようなカラーブロックをあしらった。
今シーズンは、直線を巧みに採り入れた、シャープな魅力もポイント。テープリボンのような細長い生地を、縦や横のラインを意識してパッチワークしたり。パンツのウエストから裾にかけて、ライン状に革ひものアクセントをプラスしたり。また、鳥の刺繍入りのスウェットトップスやMA-1、レザーとキルティングを合わせたコート、鮮やかなオレンジのダウンジャケットなど、スポーティーなアイテムを加えたのも印象に残った。
今季は古から伝わる技術を、現代に添うようにアレンジし取り入れた、繊細なアイテムが勢揃い。女性らしい丸みや愛らしいデザインに、男性的なエッセンスを注ぐことで、ブランドの魅力がぐんと広がったシーズンだった。