ロンドンファッションウィーク中に発表されたジャズカッツェ(jazzkatze)の2011-12年秋冬コレクション。
ジャズカッツェにとってロンドンでのコレクション発表は今回が初となる。
今シーズンのインスピレーション源はウンベルト・エーコの小説「The Name of Rose(薔薇の名前)」。知的なミステリーであり、幻想的な象徴主義に充ちた文学作品をベースに、繊細で幻想的なコレクションを展開する。
黒やネイビー、ヌードベージュを中心としたカラーパレットはニュアンスとバランスが注意深くコントロールされており、消えかけた夢の記憶のような儚さを感じさせる。ネイビーのサテンのワンピースはドレープが美しく、光沢によってさらに複雑な表情を生む。 ジャンプスーツやワンピース、トップスなどの形で多様された雪色をベースにした薔薇のプリントも、複雑な柄でありながらうるささは感じさせず、むしろ控えめな印象でエレガント。柔らかなサテンやモヘアニット、シースルーの素材など、女性らしくデリケートな素材使いも印象的で、タイツやワンピースにもほどこされたパールの装飾がフェミニティをさらに強調する。
ロンドンデビュー1シーズン目で、日本人らしい繊細な感性を強く印象づけた秀逸のコレクションだ。