ラフ シモンズ(RAF SIMONS)の2016年春夏メンズコレクションがフランス・パリで発表された。
ブランドがもともと得意としてきたスタイルは、ユースカルチャーをふんだんに取り入れたもの。そこに今シーズンは、“おじいさんのワードローブ”からエッセンスを抽出し、コレクションを完成させた。
彼らが普段着ている洋服として思い浮かぶのは、渋めの色合いで、着古されたような独特の風合い。思い起こせば、ある時期に皆が一様にそんな特徴の洋服を着始める印象を持つのではないだろうか。例えば、太くて膨らんだトラウザーや肩の落ちたアウターなど、ゆったりめに纏うことで、ストレスがかからない着こなしを自然と選んでいるのだろう。
ラフ シモンズはこの現象にフィーチャー。アン・ファッションとも呼べるアイテムを、ユースカルチャーによってフィックスし、若者が着てもむしろ新しいスタイルを生み出した。
地面を引きずるような大きいスラックスや、何度も洗って縮んだかのようなニットベスト……。これらと共にコーディネートされたのが、ユースカルチャーアイテムだ。膝上のショートパンツや、ビビッドな色合いで描かれた縦のラインを自然に取り入れ、世代を超えた着こなしを魅せている。
ショーを通じて印象的だったのが、フードのようなファブリックをまとったルック。ストリートカルチャーでよく見られるフードファッションと、退廃的な没個性観が融合したような装いは、コレクションに統一感と緊張感をもたらしていた。