グッチ(GUCCI)のイメージは、アレッサンドロ・ミケーレを迎え、大きく変化した。シックでラグジュアリーなムードは一転。初のウィメンズコレクション(2015-16年秋冬コレクション)から、クルーズ、メンズコレクションと回を重ねる毎に、そのイメージは存在感を増していく。
雨降りしきるミラノファッションウィークの初日に発表された、2016年春夏ウィメンズコレクション。新グッチスタイルを構成する、ボディラインを強調しないサイジング、ストリートの要素、そして最も“ミケーレ色の強い”ノー・ジェンダースタイルは、より確信的に表現されていた。
少女性を誇張するプリーツスカート、肌が透けるほど薄いシルクシフォンドレス、エンブレムを配したジャケット、大きなリボン付きのブラウス。それに、ベレー帽、首元に添えた花飾り、ビックサイズのアイウェアなどの小物。新生グッチ誕生時、見る者を驚かせたアイテムの数々は継続して展開され、アイコン的地位を確立している。
そこに今季は、世界各国の模様や柄をプラス。これは、ミケーレが求めた「恋愛の地図」からイマジネーションを膨らませたもの。オリジナルの地図プリントをはじめ、オリエンタルな花刺繍をあしらたシルクジャカードのスーツ、アフリカンプリントのスカートなどを揃え、世界中の国々の長所を寄せ集め、よりカテゴライズしずらい複雑なコレクションに仕上げている。またトロンプイユもポイント。チュールドレスには、スパンコール刺繍でベルトや襟が表現されている。
不自然ささえも感じるアイテム同士の組み合わせが続くが、ブランドを尊重するアティチュードがコレクションに一貫性をもたせている。今季もGGモチーフやグリーンとレッドのコンビ“ウェブ”は、バッグやベルトなどの小物やコーディネート全体のカラーセレクトに反映。また、ランウェイに描かれた蛇モチーフや、会場内のパーテーションを彩る幾何学模様をウェアに落とし込むサプライズもミケーレから目が離せない要素の一つかもしれない。