文化服装学院で文化祭が2015年11月2日(月)から4日(水)まで開催される。注目は、学生たちが作った洋服が披露されるファッションショーだ。
毎年2万人もの来場者を誇る文化服装学院のショーは、企画構成や作品制作、スタイリングはもちろん、演出、モデル、メイク、会場づくりまで、教員・業界のサポートのもと、すべて学生たちの手で作られるのが特徴。演出もさることながら、手の込んだ洋服の数々は多くの観客に驚きを与える。今回ファッションプレスでは、I部のファッションショーを取材した。テーマは「綴りゆくカタチ」、パートは大きく9つで構成されている。
スタートを飾ったのは「ENGINE」と題されたコレクション。全身メタリックカラーに包まれ、近未来的な雰囲気だが、ハイヒールやケープにタイヤのデザインが施されるなど、随所に車の部品モチーフが取り入れられている。タイトなジャケットやパンツ、ドレスなど、遊び心のあるコスチュームライクなアイテムを展開していった。
続いたのが「Overlap」。プリーツのある生地を多用した、どこか牧歌的なムードのアイテムが揃った。一見民族衣装っぽいシルエットのウェアには、化学繊維やビビッドなカラー、テキスタイルの切り替え、複雑なレイヤードなどで変化を演出。
3つ目の「寿(ことほ)ぎ」のパートでは、ホワイトの衣装に、東洋的な柄の生地をポイントにしたコレクションが展開される。メインになるのは、シェイプを効かせたホワイトのジャケットやスカート。そこへ帯やバルーンスカートが柄を加えていき、テーマのごとく祝いにピッタリのムードへ。
その後は、水玉模様のストリートスタイル「enthral」、そしてグレーのウェアにボリュームのある紅の装飾を施した、禍々しいムードの「理性一枚」とコレクションが流れていき、「ASEAN」のパートへ。これは文化服装学院の学生らがASEAN諸国を訪問し、そこで見た伝統やインスピレーション、テキスタイルをもとに制作したコレクションだ。今年は、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの5か国が対象になり、それぞれの国の持つエスニックな魅力とエッジィなデザインを重ねたワードローブが披露された。
そして終盤、パンクスタイルをベースにしながらニットの温かみ・ボリューム感で柔らかさも加えた「Paradox」、英国的スタイルを迷彩柄や切り替えしでアレンジした「RUDIE」が登場。ラストは、和のエッセンスの中で、あらゆる切り口から千鳥格子を表現した「鳥と見立てる」のコレクションで締めくくられた。