ファクトタム(FACTOTUM)の2011-12年秋冬コレクションは、今季もWEBを使った映像表現によって発表された。旅からインスパイアされた物づくりはそのプロセスを伝えることでより深く理解してもらえる、という意図からだ。テーマは「Café Time」。デザイナーの有働はアメリカの作家リチャード・ブローディガンの言葉を引用する。
私はコーヒー店にいて、私の財産いっさいがっさい集めても買えないような服装をした女性が喋るのを盗み聞きしている。(「カリフォルニアの花」より)
サンフランシスコのカフェ文化や日常の空気感を盛り込んだコレクションは、カフェでくつろぐようなリラックスした優しい色目や柔らかい素材を使ったスタイルがポイント。メインのカラーパレットはベーシックカラーのベージュ、ブラウン、黒、グレイ。そこにブルーやマスタード、モノトーンの水玉柄やカラフルなチェック、シックなプリントでアクセントをプラス。裾はちょっとロールアップして、厚手のソックスを見せるスタイリング。着心地のよいリアルクローズが、あたたかな一杯のコーヒーのように着る人の心を包んでくれるだろう。