ジェイソン ウー(JASON WU)の2011-12年秋冬コレクションが、ニューヨークのリンカーンセンターで発表された。
ロバート・ポリドリのドキュメンタリー写真集「ヴェルサイユの修繕」よりインスピレーションを得た今回のコレクション。美しく華やかな宮殿が、荒々しい内装をむき出しにする修繕中のその姿は、女性に秘められた静と動、可憐さと逞しさのコントラストを彷彿とさせる。
まず現れたのは、マスキュリンな装いの、自立した力強い女性。モノトーンで構成されたクラシックなパンツルックからは、自立した女性の凛としたたたずまいを感じる。一方、ビジューがボディ前面にたっぷりと刺繍されたドレスや、バルーンシルエットのヴィヴィッドな色合いのスカートは、まさにヴェルサイユ宮殿を彷彿とさせる、ゴージャスで華やかな女性を演出している。
何よりルックを引き立たせるのは、ジャケット、ブラウス、ドレスにとふんだんにあしらわれたレースとビジュー。ヴィクトリア調の繊細なレースが顔と胸元を優雅に演出する後半のルックからは、女性の妖艶さを内に秘めた、情熱的な女性像が垣間見える。ウルトラバイオレットやワインレッドといったヴィヴィッドなカラーとブラックの繊細なレースとの強烈なカラーコントラストにも、思わず目を奪われる。
重厚感のあるプラットホームのエナメルシューズや、スワロフスキーがあしらわれたクラッチバッグといった小物使いも、ルックを一層ゴージャスに引き立てた。今季のジェイソン ウーが見せたのは、ヴィクトリア時代の華やかさを持ち、そして芯の強さと逞しさを兼ね備えた、現代を生き抜く強い女性像だ。