タロウ ホリウチ(TARO HORIUCHI)が、2016-17年秋冬コレクションを発表。今季はモノ派のアーティストである菅木志雄の作品からイメージを膨らませた。彼の作品は、この世に存在する“もの”と“もの”を繋ぎ合わせる不思議な空間からなる。
その光景が顕著に表れているのは丸いモチーフの集合体。スカート、ジャケット、パンツ…パッチワークのように繋ぎ合わせられている丸い“もの”たち。時にそれらはポケットとして積み重なり、存在をさらに際立たせているようだ。
一方で、コレクションの中で目に留まる、白い雲が漂う青空。透き通るオーガンザはブルーをより爽やかに見せ、ロングワンピースやシャツ、そしてスカートに形を変えている。ケープには、ボアとウールを重ねることで、空を漂う雲のような不思議な動きと立体感を出す。ボアは今季のキー素材のひとつ。ショートジャケットやプルオーバーとなったもこもこは、毛足が27mmと長く、雲のようにふんわりと体を覆っていく。
同じように自然の景観の中で見つけた“もの”をあげるならば、色とりどりのヘビ柄やジャカードによるヒョウ柄などだろう。しかし、すべてがナチュラルから遠ざかるイメージ。着こなしやマテリアルのミックス、そして小物の取り入れ方…それらが理由であることは言うまでもなく明らか。
特に面白いのは、メタリックシルバーのヘビ柄。ケミカルなテクスチャーで、フューチャリスティックな印象を抱かずにはいられない。また、大胆な刺繍によるペイズリー柄は、ウールをベースに科学的な繊維を織り交ぜたハンドメイドによる仕上がり。同じように素材の独特さは、滑らかなシルクのリップストップ素材にも感じられる。さらに、光沢あるラバーのニーハイブーツや有機的なカーブを描くアクセサリーの合わせ方も、忘れてはならないポイントだ。
未来的な“もの”と昔から変わらない自然の“もの”。真逆のエレメンツを入り混ぜて、コレクションの中で未知の世界を現している。