1960年代前半にイギリスで流行したモッズムーブメントにおいて、モッズたちは「リーバイス501」よりも、新しく発売された「ホワイトリーバイス」や「リー・ウエスターナー」を好んで着用した。その陰には、リーバイスやLeeのヨーロッパ進出も重要な出来事だった。
細身のスーツ、細身のシャツ、股上の浅いパンツを穿くモッズたちにとって、労働着としてのワイドシルエットのジーンズよりも、細身の白いジーンズのほうがスタイリッシュに感じられたようだ。
このような後押しもあり、リーバイス、リー、ラングラーといったジーンズブランドは、ヨーロッパでの普及もあり、空前の売上げを記録。60年代半ば、リーバイスは年間で1億本のジーンズを売上げた。
ヨーロッパファッションに関して言えば、50年代のロンドンに、ロッカーズというジーンズを取り込んだスタイル(グループ)があったのだが、ファッションとして本格的に普及するのは60年代モッズあたりから。
ジーンズはビートルズ、ローリングストーズ、女優ではジェーンバーキンなどが履きこなし、60年代から70年代にかけて、よりファッションに取り入れられていく。
1960年代後半、ビートニクの影響やベトナム反戦運動・公民権運動などの社会運動などを背景としたヒッピームーブメントがアメリカから起こる。
そこには、「ラブ&ピース」などのテーマ・主張を歌ったボブ・ディランのようなフォークミュージックや、LSDなどのドラッグがもたらす高揚感を表現するサイケデリックミュージック、ウッドストックフェスティバルに代表されるロックミュージックといった、反体制的なカウンターカルチャーが成熟した。
彼らのヒッピーファッションには、既に「自由・反抗」の象徴ともなっていたジーンズが採り入れられたのだ。
1966年には、「リーバイス501」のパッチから「XX」の表記がなくなり、隠しリヴェットが廃止されバータックで仕上げるようになる。いわゆる「66モデル」。そして、1969年には、ベルボトムジーンズの「リーバイス646」を発売。
まさにヒッピーファッションのジーンズの特徴でもあるほど、多く着用された。このように、ジーンズは時代とともにファッショナブルなものに変化していった。
第7章は、パンクとジーンズ