カラー(kolor)は、パリ・ファッション・ウィーク中にインスタレーション形式で2017年春夏ウィメンズコレクションを発表した。
阿部潤一の優しい気持ちが投影されているシーズンである。リラックス&スポーティー、変わらぬDNAを保持しながらも、エスニックな要素、フェミニニティを象徴的に採り入れ、可愛らしく心に残るコレクションピースを完成させている。
阿部が目指したのは、とてもシンプルだが平和主義に重きを置いたものだ。様々な世界情勢がある中、日本人デザイナーがフランス・パリでコレクションを展開し続ける義務。強い形ではないが、そんな彼のスピリットが豊かなクラフツマンシップで表現されている。
これまでとのイメージチェンジを支えるのは、小花の模様。機械で施したとは思えないほどに繊細な花々が刺繍になってシースルー素材を彩っている。また、花びらを広げる瞬間は写実的に捉え、プリントとで繊細に表現。シースルー地のスカートやトップスに落とし込まれ、テキスタイルが重なり合うと3Dのような効果を発揮して、より活き活きと快活に花の生命を映し出している。
民族的な要素は、大胆かつわかりやすい形で表現されている。ミリタリーシャツにドッキングしたチャイナボタン、花柄を襟元だけに差したフレンチシック、紙のように薄いメタリック素材に乗ったアジア風の模様。ぱっと見、どこかで出会ったことのあるトラディショナルな佇まいであるが、色使いやコンビネーションが新鮮さを与えている。
カラーならではのバリエーション豊かなディテール・デザイン特性は今季も健在。特に今季はレイヤード風のアイテムを多く提案している。スカートとパンツのドッキング、スカートオンスカートの打ちだし方。どれも異なるアイテムが交際しているのだが着心地がよく、穏やかで特別感に満ちた仕上がりである。