ルール ロジェット(leur logette)の2017年春夏コレクションを紹介する。
美しいファブリックを重ね合わせて、ロマンティックな世界を築くルール ロジェット。デザイナー井本雅子は、国内の工場から海外メゾンも使用するマリア・ケント社まで様々な場所へ足を運び、こだわりの素材を用いて毎シーズン新しいルックを完成させている。
今季、井本が目を向けたのは光と影、そして過去と未来の世界。燦々と降り注ぐ太陽の下ひっそりと潜む真っ黒な影や、ドキドキと胸を踊らせる未来の側で見守る過去のぬくもり…そういった相反する2つの要素を、ヴィンテージライクなテイストを交えて詩的に表現する。
アイコンルックの一つは、異なる生地を繋ぎ合わせたコートとスカート。春の柔らかな日差しを想起させるフラワープリント地、キラキラと輝くラメ糸を交えたジャカード、繊細な刺繍をのせたレースなどをコラージュ技法を用いて服地の上で出会わせる。どの生地もフェミニンで夢ある佇まいだが、どこか色褪せたような表情や哀愁漂うカラーリングが、混じり合うことのない光と影、過去と未来といった両者の儚い関係性と重なっていく。
また、異なる要素のドッキングをより視覚的に表した装いもある。ブラックの膝下丈スカートは、プリーツとティアードを共存させた。縦に長くのびるプリーツとふわりと広がるフリルは、相反する性格ながらもどちらも可憐な印象で、新しいフェミニニティの完成へと繋げている。