リック・オウエンス(Rick Owens)が、2017-18年秋冬メンズコレクションをフランス・パリで発表した。
バルーンアートからインスパイアされたこぶのようなダウンは、布で縛ってさらに歪な形となり、まるで現代的アートのようだ。また、一見ドレープの効いたタイトなトップスに見えるものも、横腹あたりに空いた穴から腕を通せるようにしたトランスフォームするアイテムである。
クロップド丈の“アート”とは対照的に、裾を引きずるほど長いワイドパンツは、実はジャンプスーツとなっている。2重になったトップスをバナナの皮をむくようにして着ることから「バナナピール」とも呼ばれるこのアイテムを“剥いて着る”のが今季のスタイルだ。ファブリックのベースはデニムだが、オーバーダイによる独特加工によって仕上げられており、硬質的な新素材を使用しているといっていいだろう。
トップスへのレイヤードはダウンコートで補っている。ポンチョ型に見えるアシンメトリーなダウンコートが登場しているが、実はベスト。ハンガーラックにかければいたって普通のフォルムとなる。背中部分にスナップボタン式の40センチほどの穴が空けられており、ランウェイではそのひとつの穴から首を出している。この形状は、レザージャケットなどにも同じく取り入れられている。
一見不可解にも見えるものが結合する今季のインスピレーション源は70年代のデヴィッド・ボウイスタイル。比較的コンパクトに抑えたトップとボリューム感あるボトムスがそのテーマを表す最たるものであり、独自の解釈と創意工夫で前衛的スタイルへと昇華させた。