リーバイス(Levi's)の501モデル。ジーンズを語る上で、決して欠かすことのできない存在であり、今もたくさんの人に愛されるデニム アイテムだ。
1890年初めてロットナンバーとして“501”が振られて以来、120年以上が経過した今、そのシルエットやジーンズ自体の用途も大きく様変わりしている。
当時のリーバイスの広告や写真と共に、復刻版であるLVC(リーバイス ヴィンテージ クロージング)のアイテムを紹介。時代背景や、シルエットがなぜそうなっていったのかを、貴重な資料と共に紐解いていく。
1853年、ゴールドラッシュに湧くアメリカに、ドイツから移民としてやってきた一人の男がいる。その男が創業者、リーバイ・ストラウス(Levi Strauss)だ。リーバイ・ストラウス&カンパニーを創業する前から、衣類を取り扱う雑貨商をしていた彼の元に金鉱で働く人々から届いた、丈夫な作業着が欲しいという要望に応える形で、ジーンズの前身となるワークパンツが生まれた。初めはキャンバス地を使ったものを販売していたが、その後に素材はデニムに変更され、色もインディゴ・ブルーが採用されていく。
ワークパンツは、どのようにしてジーンズになったか。それは一つのアイデアによって生まれることになる。
リーバイ・ストラウス「働いているうちにパンツが破れて困る」という労働者の要望に応えるため、耐久性のあるパンツの製作に試行錯誤を重ねていた矢先、リーバイ・ストラウス&カンパニーと取引をしていた仕立屋のヤコブ・デイビス(Jacob Davis)が、リベットでポケットを補強するというアイデアをもたらした。彼らは共同でそれらに関する特許を取得。「ジーンズ」はこの瞬間に生まれたことになる。つまり、ジーンズの最大の特徴は何かと言われれば「補強のためにリベットが打ち込まれている」という点になる。
こうして、1800年代から1900年初頭ぐらいまでは“労働者のための服”としてジーンズは普及した。今では”労働者の服“とは考えられないくらいファッショナブルなアイテムが多いが、リーバイスのその名残は、パッチのデザインに今もみることができる。
パッチはジーンズの後ろに縫われている品質保証書のことで、ここには2頭の馬がジーンズを引っ張っている絵が描かれている。これは「ツーホースパッチ」と呼ばれており、「たとえ2頭の馬が引っ張っても破れない」という意味が込められている。
下のイラストは、1899年頃のフライヤー。様々なシーンの労働者を描きながら、ジーンズが使用されるシーンを的確に表し、働く人に“このパンツが必要”だという思いを突くようなデザインに仕上がっている。よく見ると、中央には「ツーホース」のイラストが。
1890年、ロットナンバーとして「501」が、初めて商品に付けられた。
特許期間の終了や、商品ラインの拡大により、“501”と名付けられたジーンズ。最初のモデルの特徴は、ベルトが普及する前に使われていたストラップやバックル、締め付けやサスペンダーを取り付けるためのボタンが取り付けられていた。
LVCの復刻アイテム「501 XX 1890 MODEL」では、クロッチリベットやサスペンダーボタン、ツーホースのレザーパッチなど、かつてのデザインをきっちりと再現している。
ちなみに、復刻版であるLVC(リーバイス ヴィンテージ クロージング)の良いところは2つある。それは、「当時のデザインをそのまま着ることができること」。そして、「サイズ展開があるので自分にピッタリな一着が購入できること」だ。リーバイスの“最上級ライン”と言っても過言ではない「LVC」の生産は全てアメリカ。当時と同じ織り機を使い忠実に再現している。そして、「ヴィンテージで自分のサイズにあうジーンズはなかなか見つからない」を解消してくれるという点で、ジーンズファンにとって、嬉しいはずだ。
また、現在も続いている試みとして、品質を保証する保証書が付属されるようになったほか、当時は、“Miner Trade Card"が購入者には渡され、現在では収集家によってスクラップされているようだ。