ボタンも供給が不安定だったため、様々なデザインのものに。唯一リーバイスが譲らなかったのがアーキュエットステッチで、削除をする代わりにペイントする方法で伝統を守った。ちなみにシルエットは、ハイウエストのレギュラーフィット。
「S501 XX 1944 MODEL」は、これらの不安定さからくるデザインを忠実に再現。上で紹介したペイントのステッチはもちろん、スレーキや糸の種類をあえて統一せず生産しており、こだわりが見て取れる。
501は、その誕生から1950年代中頃まで、アメリカ西部でしか販売がなされていなかった。しかし時代とともに認知が拡大され、東海岸でも販売されるようになったのがこの時代だ。ジーンズに全く触れたことがない人々も多かったため、親しんでもらうための広告も作られた。インパクトある木製のカーボーイが持つボードには、「リーバイス アメリカ最上質のオーバーオール 誰にでもフィット」の文字。これらはリテーラーに配られていたそうだ。
人々に親しみを持ってもらうことを目指し、1954年リーバイスは新たに「501Z」のジーンズを発表。洗って縮めることで、自分の体にフィットさせて楽しめる“シュリンクトゥフィット”を採用した画期的なモデルだ。コーンミルズ社製のレッドセルベッジデニムを使用し、フロントジッパーを隠すデザインであるジッパーフライを使用、そしてレッグは細めでテーパードな点が特徴であった。
501愛用者を魅了してきたシルエットや丈夫かつしなやかな生地、リベットなどの要素が盛り込まれていたこともあり、やがて多くのファンができ、1967年には「502」という新しいロットナンバーも登場。1976年にプリシュランク(防縮加工)が人気を上回るまで、「502」は主要な商品ラインの一部となった。「501Z XX 1954 MODEL」はこの「501Z」のデザインを踏襲したモデルとなっている。
1955年に登場した「501」ジーンズは、ヒップ周りにゆとりを持たせた“アンチ・フィット”のつくりと、脚の部分のゆとりを持たせたストレートなボックス・シルエットが特徴に。
また、ツーホースのパッチに紙を初めて導入したジーンズでもる。このパッチには、2頭の馬がジーンズを引っ張っているイラストが描かれており、ジーンズの丈夫さや取得特許のリベットを使用した衣類の元祖である事を示していた。
さらに、大文字 “E” の入ったリーバイスのレッドタブ、ジンクボタンフライ、そして銅製のリベットも備わっていた。また、前身の1947年モデルと同様、ウエストを調節するアジャスターとしてベルトループのみが採用され、バックポケットには隠しリベット、フライにはジンクボタンが使用された。「501 XX 1955 MODEL」にはそんなジーンズのデザインが再現されている。
1950〜60年代初期に訪れた、ジーンズの世界的ブームが冷めやらぬ1966年に、たった5年だけ生産された儚いモデルが誕生した。この1966モデルには、リベットの代わりにバータックが採用され、“Big E”レッドタブがつけられている。
1937年にバック ポケット リベットがデニム生地でカバーされたことで、以前からクレームに上がっていた家具を傷つけるという問題が解決されたかに思われたが、リベットは思いの外頑丈で、履き続けるとまたむき出しになってしまうという課題がまた生まれた。それを解決する技術として、バータックが採用されたのだ。