ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)の2018年春夏コレクションが発表された。
ヴィヴィアンは今季もファッションを通して私たちに深刻なメッセージを投げかけた。まず、コレクションの主役とも言えそうな“柄”に注目してみよう。ファーストルックは、動物の斑点のように見える手描きの柄で覆われているが、この柄は、×10を繰り返して果てしなく増えていくお金のゼロを意味しているという。ヴィヴィアンはこのデザインを通して、少しのゼロで守れる熱帯雨林の存在と、そうはされずに消えていく何十億ものお金のことを伝えている。
さて、これらの印象的なプリントで覆われた序盤のルックは、柔らかで身体に沿うニット素材がメインのようだ。ニットの柔らかな性質を生かして、ネックをドレープさせたトップスや、シンプルなシルエットのカットソー、袖を独特なカッティングでデザインしたワンピースなどのアイテムとなって登場した。
中盤以降は、アヴァンギャルドな雰囲気はそのままに、ジャケットを用いたよりボリュームのあるコーディネートが提案された。ダブルブレストのジャケットは、非常に大きなラペルとショートの丈感によって型にはまらないスーツスタイルとなり、チュールのボリュームスカートを合わせた黒のジャケットは、大きな襟と、前開きが斜めにずれたデザインによって、唯一無二のスタイルを生み出している。
前衛的な柄とカッティングでデザインされた衣服に、伝統的なイギリスのタータンチェックを挟み込む手法も印象的だった。非常に短いメンズのパンツとなったり、メタリックゴールドのオールインワンに合わせたリュックに配されたりすることで、ブランドのアイデンティティとも言える柄と、型破りなデザインとの融合を垣間見ることができた。