マルニ(MARNI)の2018年春夏コレクションが、イタリア・ミラノで2017年6月17日(土)に発表された。
人生という長い旅を続けるうち、幼い頃から少年が出会った思い出をかき集めて、今季のマルニは出来上がった。いくつかのものをつなぎ合わせた洋服は、だれもがもつ過去を思い起こさせ、私たちをそこはかとなく懐かしい気持ちに浸らせてくれる。
旅の中で出会う、トレンチコートやサファリジャケット、ウィンドブレーカーなどのアウターは、遊ぶように我を忘れて身にまとう。どおりで形が崩れているわけだ。そして、シャツやパンツは、まるで無作為に布地を張り付けたよう。素材はフォーマルな装いではよく目にするストライプ状のものばかりだが、ランダムに生地が張り合わせられたことで、アイテム自体にあどけなさが残る。ジャケットはアシンメトリーに繋ぎ合わせられているし、ハーフパンツの中には、中地との長さがちぐはぐになっているものだってある。
スタイリングも面白く、短いシャツに長いシャツを着てみたり、まるで赤ちゃんの着るロンパースのようにヘムが分かれたトップスをワイドパンツと合わせたり。どれをとっても規則性はない。しかしそれがマルニ独特のアキーテクチュアルなデザインへとつながっている。
特徴的な装飾として登場した“落書き”は、まるでよだれ掛けのようにフロント部分にあしらわれたり、ペタペタと雑多に糊付けしたようで、シャツの上でなびいている。ポップな花柄や、動物の絵も……。今シーズンはフォーマルなアイテムがどんどんタイムスリップさせられる。
もうひとつ目立ったものにブランド名の頭文字「M」やヨット、そして四葉のクローバーのワッペンがある。これらもまた小さな頃に見た思い出のひとつ。ただ、当時と違うのは、アーガイル柄やストライプ柄など、オーセンティックなフォーマルスタイルを想起させるものが基盤にあるということ。マルニらしい構築的なシルエットは、大切な過去の1ページとともに完成したみたいだ。