オーストラリア発の人気ブランド、ミーガン パーク(MEGAN PARK)。インドの熟練した職人によるハンドメイドのディテールデザインが特徴のコレクションは、世界中のショップで取り扱われ、日本のセレクトショップでも好評だ。
今回、デザイナーのミーガンが来日し、スペシャルインタビューが実現。最新コレクションや、こだわりの服作りについて語ってくれた。
春夏シーズンはトライバルを意識していたんですが、今季はアンティーク調でよりフェミニンでデリケートな印象のコレクションにしたかったのです。
1920年代のヴィクトリアン風のシルエットに、様々なテクニックの繊細な刺繍を施しているのがポイントです。ビーズワークや花柄でフェミニティを強調しています。
秋冬なのでダークカラーをベースにしていますが、テラコッタやモスグリーン、ロイヤルパープルなど明るい刺し色を加えてアクセントにしました。プリントはハンドペイントしたものをスキャンし、デジタルプリントにしています。
これまでプリントはハンドスクリーンで展開していて、昨シーズンも半分ハンドスクリーン、もう半分はデジタルプリントでしたが、今季はすべてデジタルプリントを採用しました。
フレッシュでクラフト感のあるハンドスクリーンと違って、秋冬はより洗練された雰囲気にしたかったのです。デジタルプリントだと豊富な色彩で表現できるので、ドリーミーでナチュラルな、おとぎの森のようなボタニカルプリントを創りだすことができたんです。
このスクエアシルエットのドレスのプリントは'ランタナ’という名前なのですが、遠くから見るとグラフィカルな印象ですが、近くから見るとかわいらしい花柄のプリントなんですよ。クリーンでモダンな感じを目指したんです。
ナチュラルな素材を使って、リラックスでコンフォタブルなシルエットに仕上げたので、日本人のスタイルにもきっと合いますよ。フラッパードレスや、ロング&リーンなシルエットのロングスカートもおすすめです。この黒のレースのパッチワークスカートや、手作業でピンタックをとったロングスカートなど、エレガントで素敵でしょう。
私はアンティーク刺繍をコレクションしているので、そこからイメージすることもあります。
毎シーズン違う雰囲気のデザインになっていますが、特にインスピレーション源があるわけではなくて、過去からの流れがあって、その時のフィーリングで着たいと思うものをデザインしているの。トレンドに流されず、でもファッショナブルでいたい、といつも思っているの。
私の頭の中には’ミーガン パークウーマン’は、若くもあるし、自分の母親くらいの年でもある、そんなエイジレスな存在。だから、目指しているのはいつまでも着ることができる、クオリティにこだわった服作りなの。
ええ。ティルダ・スウィントンやケイト・ブランシェット、ニコール・キッドマン、サラ=ジェシカ・パーカーらファッションに敏感なセレブ達も着てくれているのよ。
こちらから衣装提供しているわけではなくて、雑誌やメディアでミーガン パークを知って気に入ってくれたみたいなの。世界中で取扱いショップが今も増えているので嬉しいわ。
ええ。今まで順調に来れて嬉しいわ。それに、日本で展開し始めて東京に来ることができるようになったのが何よりも嬉しい!
日本のお店は細かなところまでクオリティにこだわっているので、見ているだけでも楽しいし。そんなお店にきれいに並べてもらうことができて、ブランドとしての地位も上がります。今はビームス、エストネーション、シップスなどで扱ってもらっていて、ユナイテッドアローズではメンズの別注ブレスレットも展開しています。
ジュエリーは6年前から展開を始めました。ビーズや刺繍などハンドクラフトをふんだんに取り入れて主張あるデザインにしています。シンプルな洋服にも映えるようにね。
これ(右写真)が生産をお願いしているインドの工場の写真。ファミリー経営の小さな工場だけど、クオリティが高くてプラダやバレンティノもここに依頼しているのよ。コレクション立ち上げの時にはデザインチームと一緒に5~6週間インドに滞在して、マーケットや街並みからデザインや素材のアイディアを探し出して、そしてコレクションに落とし込んでいるの。
インドはオーストラリアでの学生時代に友達と訪れたのですが、それが私にとって初めての海外旅行でした。その時からインドが大好きになっちゃって。インドに行くと、人や街やすべてのことから刺激を受けます。
大学を卒業後、イギリスのテキスタイルデザインの会社で働いていた時も、よくインドへ行っていました。20年前はインドの刺繍はチープなものだったけど、今ではクオリティがどんどんよくなっています。ミーガン パークがお願いしている工場にも代々職人の家庭で育った人も多くて、私がブランドを始めてからずっと携わってくれている人もいるんですよ。
ミーガン パークのコレクションを知ってる人は、私自身の自宅も刺繍や装飾で溢れているように思ってしまうようだけど、実は自宅のインテリアなどはシンプルよ。普段着ている服はもちろんミーガン パークだけど、リラックスしたデザインのものが特に好きでよく着ています。このドレスとかね。
メルボルンにはフラッグシップショップがあって、ウエア、アクセサリー、クッション、スローなどのホームウエア、そしてキッズラインまで幅広く扱っています。お店を持ってよかったと思うのは、お客様から直接フィードバックを受けられること。でも、お店を経営するはとても難しいですよね。ミーガン パークは小さなチームで運営しているブランドなので、チャンスがあるごとに新しいことにチャレンジしながら着実にブランドを発展していきたいです。
ミーガン パークが提案するのは、長く着続けられる、時代を超えたスタイルです。刺繍ハンドメイドで仕上げられる洋服は、生産に時間も手間がかかるもの。この刺繍も職人が丸一日かけて完成します。そんな洋服の背景を感じながら着てほしい。そうすれば、ミーガン パークの洋服を着る楽しみがまた増えるでしょう。