アナ スイ(ANNA SUI)の2018年春夏コレクションが発表された。
今シーズンのテーマは、1960年代後半から発生した、人間性回復を求める集会「Be-in」。1970年代初頭、何時間もかけて手作りした洋服やファッションアイテムを身に着けることによって、人々は自らのアイデンティティーを主張した。クリエイションの源は、デザイナーのアナ・スイが実際に見た、アメリカのカウンター・カルチャーにおけるファッションの美術展。刺繍や染めが施されたハンドメイドアイテムが持つ、クリエイティビティや自由の精神にインスピレーションを得ている。
コレクション全体から浮かび上がるのは“手作り”の温かみだ。サイケデリックなカラーリングが目を惹きつける。リーバイス(Levi's)のデニムに奔放に描かれた、ピンクやオレンジ、イエローのハートや花々などの模様は全てハンドプリントによるものだ。組み合わせたミニドレスには、愛らしいかたつむりやリスを、ライトグリーンやオレンジなどの柄とともに刺繍であしらっている。また、民族調のベルトやバッグ、タイダイのボトムスからは、織や染めで表現された、細かく複雑な模様が豊かな表情を見せる。
透け感のあるシフォン素材で作られたネイビーのカフタンドレスには、様々なトーンのブルーで表現された、幾何学的な模様と星柄を組み合わせ、明るい夜空のように賑やかな雰囲気を演出。ゴールドの糸で刺繍された星が輝いている。夕方や星空をポップなプリントで表したTシャツも登場。袖にプリントされた数々の大きな星たちが、遊び心いっぱいに存在感を放つ。
ポピーやヒマワリを全面にプリントしたドレスは、生き生きと咲く花々の躍動感に満ちている。裾や袖口にブラックの糸で繊細な刺繍を施し、デザインにスパイスを加える。一方、若草色のレースと組み合わせた花柄は、ソフトな素材と淡い色合いによってナチュラルな空気感を生み出している。プリーツが施されたドレスは歩を進める度に揺れ動き、草原の中に咲く花々のように、可憐で上品なムードが漂う。
ヒッピースタイルを象徴するかのようなフリンジは、メッシュ素材のポンチョに施すとエキゾチックになり、羽根やラメで飾ったジャケットに組み合わせるとゴージャスに。きらめきと華やかさに満ちたスタイリングは、自由やハッピーなイメージを彷彿とさせる。