オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE ℅ VIRGIL ABLOH)の2018年春夏ウィメンズコレクションが、パリ・ファッション・ウィーク3日目の2017年9月28日(木)に発表された。
テーマは「natural woman」。このテーマが自然体の女性を映し出したものかは定かではない。しかしながら、どちらの解釈にせよ会場に集まるジャーナリスト、エディター、バイヤー、スタイリスト、フォトグラファー…といった働く女性は共感するシーンが多かったはずだ。
ヒールを脱ぎ捨て手に持ちスニーカーで歩く姿、パーティーだからと気張って豪華なドレスを纏う姿。ヒールまで覆ったパンプスやブーツなどのシューズは、「雨に濡れたくない」「新品だから大切に履きたい」なんてつい思ってしまう本音のようにも見えるし、とにかく女性心理をうまく突っついたコレクションであった。
その印として「ラグジュアリーなストリートウェア」をコンセプトに抱えているブランドとは思えないほど、女性らしい仕上がりであったが、ショー終了後は拍手とブラボーの声が止まなかった。
コレクションピースは、先のリゾートコレクションでも存分に感じていたが、直接的なストリートの定義は排除されている。テーマに沿った、フェミニニティが大きな幹。仕事場で着るスーツ、華やか場で纏いたいドレス、デートで着たいタイトなスカート。日常シーンをイマジネーションできるピースが今季の中心である。
花柄、シフォン、チュール、ピンク、リボン、スリット、ティアードドレス、ベアドレス。洋服の名称も素材も模様も色柄も全部ミックスしているが、こんな女性的な要素がランウェイに溢れている。なのに可憐にならない。花柄は鮮やかなピンクとモノクロを共存。スリット入りタイトスカートはロゴ文字を内側に隠す。ジャケットのパートナーはカジュアルなハーフパンツ。パンプスに乗せたリボンは床につきそうなほどビックサイズ。と、揃ったカードは女性らしいのに、ウィットに富んだ調理で、男性性も併せ持った現代女性の心理に迫る。
ポップなアイデアが効いていたのは、洋服だけじゃない小物もだ。先に挙げたビニールラップ型のシューズを筆頭に、ギフトボックスのようにリボンを巻いたクラッチ。TIME、LIFEと現代女性に大切なワードをバッグにしたアイテムまでも。本来はエレガンスに見えるはずのグローブもくしゃくしゃしたフォルムで、何か憎めない愛嬌がある。