2012年2月29日、ミュグレー(MUGLER)が2012-13年秋冬コレクションをパリファッションウィークで発表した。テュエリー・ミュグレーの1997年の'Insect'コレクションに、アジアの芸術に見られる自然界のグラフィックなモチーフと、日本の武士の世界、そして坂本龍一の音楽がインスピレーション源となった今季。ショーの音楽も、坂本龍一とニコラのスペシャルコラボレーションによって誕生し、ミシェル・ゴベール(Michel Gaubert)によるリミックスで繰り広げられた。
ニコラが描き出すイメージは、ウィメンズウェアのヘッドデザイナーであるセバスチャン・ペイネ(Sebastien Peigne)によって、素晴らしいいカッティング、ファブリック、シルエットで構成されるスーパーフェミニンなコレクションへと昇華された。自然界を形作るストラクチャーやパターンのシンメトリーな要素や'繰り返し'は、シルエットやスタイルに落とし込んでいる。また、日本の着物のプロポーションもキモノスリーブのデザインなどに見てとることができる。ペプラム風のデザインやレーザーによるカッティングが、有機的でグラフィカルなラインを描きながら強く建築的なボリュームを作り出した。
テュエリー・ミュグレーのアーカイブから引用されたこのシルエットは、フォックスファーやミンク、シルク、手刺繍を施したパテントレザーなどの最高級の素材を自在にあやつる、高いテーラリング技術があってこそ完成する、ミュグレーのスーパープロポーション。ニコラによる革新的なミュグレーの世界が、その鋭い感覚で常に進化し続けているのを確認できた今シーズンだ。