展覧会「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」が、2018年1月23日(火)から4月1日(日)までの期間、東京都美術館にて開催される。東京展会期終了後、愛知・豊田市美術館では4月24日(火)から7月16日(月・祝)まで、北海道・札幌芸術の森美術館では7月28日(土)から9月24日(月・祝)まで開催する。その後、広島、福島にも巡回予定。

画家一族の150年の全体像に迫る

本展では、16、17世紀のヨーロッパにおいて最も影響力を持った画家一族のひとつであったブリューゲル一族の画家たちが生み出した宗教画、風景画、寓意画、静物画などおよそ100点を展示する。その多くが日本初公開作品となる。

150年に渡り画家を輩出し続け、絵画様式と伝統を築き上げてきたブリューゲル一族。作風を受け継ぎながらも、各々が様々な主題を扱い、多様な芸術的視点をもっていた。そんなブリューゲル一族と16、17世紀のフランドルにおけるブリューゲル様式の全体像に迫っていく。

宗教と道徳

ブリューゲル一族の祖であるピーテル・ブリューゲル1世が画家として作品を残した16世紀半ば頃は、カトリックとプロテスタントの宗教対立をはらむ困難な時代が続いていた。ピーテル1世の作品では、善悪の価値観を示すのではなくより冷静で中庸な視点からの表現が見受けられる。《最後の審判》には、ぱっくりと口を開けた地獄に人々が送られる様子や、怪物たちが描かれている。その他、《キリストの復活》など、聖書における重要な場面を題材にした作品も展示される。

農民たちの踊り

ブリューゲル一族の画家たちは、当時の農村の風景を描き、人々の日常の暮らしを絵画に表現した。ピーテル・ブリューゲル1世が下絵を描いた版画作品《春》では、造園作業に勤しむ人々の様子が描かれている。また、非日常的な場面である祭りや婚礼の祝宴など、時にはダンスをしながら喜びを爆発させる農民たちの姿も主題となっている。ピーテル・ブリューゲル2世の《野外での婚礼の踊り》は、たくさんのカップルが踊り、婚礼を祝う様子を躍動感いっぱいに表現している。

“花”など静物画

貴族のコレクションと結びついて、発展していったフランドルの静物画。作品の希少性や異国性が評価された。ヤン・ブリューゲル1世と、その息子であるヤン・ブリューゲル2世が共同制作した《机上の花瓶に入った チューリップと薔薇》は、鮮やかに咲く花々を生き生きと描いた作品。父のヤン1世は、とりわけ花の生物画を得意とし、「花のブリューゲル」とも呼ばれている。

概念を視覚化した寓意画

寓意画は抽象的な概念を視覚的に理解するための効果的な方法とみなされ、愛や平和、豊穣といった概念を擬人化することで表現している。非日常性や異国性をプラスするため、オウムやトラ、ライオンといった当時珍しかった動物も書き加えられている。ヤン・ブリューゲル1世《ノアの箱舟への乗船》や、ヤン・ブリューゲル2世《地上の楽園》など、様々な動物達が画面いっぱいに描き出された、想像上の世界が広がる。注意深い自然観察によって実現する、精緻な細部描写に注目だ。

また、人間の五感をテーマにした、ヤン・ブリューゲル2世の《嗅覚の寓意》《聴覚の寓意》も細かく鑑賞すると様々なモチーフが登場。《嗅覚》には花々や果物、香水など の匂いのするものが描かれ、《聴覚》では楽器やさまざまな声で鳴く鳥たちが描かれている。

【詳細】
ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜
・東京展
会期：2018年1月23日(火)～4月1日(日)
開室時間：9:30～17:30 ※金曜日は20:00まで(入室は閉室30分前まで)
休室日：月曜日、2月13日(火) ※ただし2月12日(月)は開室
場所：東京都美術館
住所：東京都台東区上野公園8-36
観覧料：一般 1,600(1,400)円、大学生・専門学生 1,300(1,100)円、高校生 800(600)円、65歳以上 1,000(800)円
※()内料金は20名以上の団体・前売り料金。
※中学生以下無料。
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保険福祉手帳・被爆者健康手帳持参者と付き添い1名は無料。
※2月21日(水)、3月21日(水・祝)はシルバーデーにより65歳以上無料
※毎月第3土曜日・翌日曜日を家族ふれあいの日とし、18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住、2名まで)は一般当日料金の半額。
※いずれも証明できるものを持参する必要有。
※都内の小学・中学・高校生ならびにこれらに準ずる者とその引率教員が学校教育活動として観覧するときは無料(事前申請が必要)。
前売券発売期間：2017年11月19日(日)～2018年1月22日(月)
チケット販売所：東京都美術館、展覧会公式ホームページ、日テレゼロチケ、ローソンチケット(Lコード：31110)、イープラス、セブンチケット、チケットぴあ、Yahoo！チケット、Famiポートほか主要プレイガイド
■巡回展
・愛知展
会期：2018年4月24日(火)～7月16日(月・祝)
場所：豊田市美術館
住所：愛知県豊田市小坂本町8-5-1
・北海道展
会期：2018年7月28日(土)～9月24日(月・祝)
場所：札幌芸術の森美術館
住所：札幌市南区芸術の森2-75

【東京展問い合わせ先】
TEL：03-5777-8600(ハローダイヤル)