パリファッションウィークで発表された、カルヴェン(CARVEN)の2012-13年秋冬コレクション。クリュニー中世美術館の「貴婦人と一角獣」というタペストリーや、ヒエロニムス・ボスの祭壇画「快楽の園」のプリントが象徴するように、今季は中世ヨーロッパの宗教的なアイコンをコレクションの随所に取り入れた。
カラーパレットは、サフランイエロー、モスグリーン、ワインレッドやカーディナルレッド、ディープミッドナイトブラック、ロイヤルブルーなど。深みのあるリッチなトーンで構成された。教会のローズ窓をイメージしてレーザーカットでつくられたレース模様、中世ヨーロッパの地方の旗をイメージした赤、ベージュ、ロイヤルブルーのヴィヴィッドなストライプなども登場した。ベロアやレザー、コブラン風ジャカードなど、はりと重厚感を備えた素材で構築的なシルエットを作り出している。
ワイングラスを逆さにしたようなシェイプは、聖杯の形からのイメージしたもの。計算されたパターンにより膨らまされたスカートがくびれたウエストを強調する。中世の甲冑や修道士・修道女の衣服を連想させるハイネックやカウルネックのデザインもポイントだ。
重厚なモチーフを元にしつつも、カッティングやスタイリングのバランスに軽さを持たせ、モダンに仕上げたのがアーティスティック・ディレクター、ギョーム・アンリのさすがなところ。ワンランク上のおしゃれを楽しむ女性の間で今季も話題をさらいそうだ。