ラッド ミュージシャン(LAD MUSICIAN)の2018年春夏コレクションが発表された。
今季は「MAYBE A PAINTER OR A MUSICIAN.」をテーマに、ロラン・バルト『美術論集』や林道郎『絵画は二度死ぬ、あるいは死なない』、スウェーデンの実験的なミュージシャンであるAltar Of Fliesの音楽からヒントを得て生み出されたコレクション。静かに落ち着いた雰囲気の中に、ノイジーで前衛的なイメージが差し込まれていく。
ダークな存在感を放つ花々が、毒々しくも美しく、洋服を彩っていく。着物のように直線的なシルエットの羽織りや、ジャケット、パンツ、スカジャンを飾るのは繊細に描かれた19世紀の絵画をモチーフにした薔薇だ。一方、キリスト教の手向け花から着想を得た百合はビビッドに、ニットやシャツ、パーカーの上に姿を現す。
Tシャツに描かれた抽象的なグラフィックは、サイ・トゥオンブリーの自由な画法をイメージ。ランダムに描かれたような奔放なイラストの1つ1つは、ミステリアスな表情を浮かべながらTシャツに落とし込まれ、見る者に不思議な印象を残す。
オーバーシルエットでありながら端正なフォルムを保つパターンに注目したい。ネック周りを広げることで抜け衿にしたシャツやステンカラーコートは、ショルダーのラインに自然に馴染むため、ラフな着方でありながらも凛としたスタイルが完成する。
ボトムスの造形にも様々なバリエーションが見られる。裾に分量感を持たせたワイドパンツや、クリーンなワイドクロップドパンツ、極端に裾を細くすることでシルエットに緩急を持たせたパンツ等が登場。どれも、アバンギャルドなコーディネートに映える整ったシルエットが特徴的だ。ボンデージディテールを施した、パンク調のラップスカート風パンツは、羽織りと合わせると和風に見え、ジャケットと合わせてオールブラックのスタイリングに組み込むと中性的になる、表情豊かなパンツとなっている。