2012年3月20日、ウィズリミテッド(WHIZ LIMITED) が、2012-13年秋冬コレクションを発表した。ビーチを思わせるような、砂を敷き詰めたランウェイと、波打ち際にいるようなBGMが私たちをどこかへ誘ってくれるような雰囲気が漂う中、ショーはスタートした。コレクションのテーマは「LOST」。12月の暖かい海に家族で訪れた時に、不意に子どもが裸足で遊ぶ姿を見てインスピレーションを受けたという。ふと気付けば違ってしまっていたもの、失っていたこと、例えば若い頃の感覚などをスタイリングやアイテムに反映させて表現した。
カラーパレットは、レッドやオレンジ、そこにキーカラーとして80年代のサーフィンをイメージしたマスタード、バーガンディー、ブルー、さらに差し色としてベージュを取り入れた。
アウターにはマウンテンパーカー、ムートンジャケット、フード付きパーカー、ダウンベスト、レザージャケットなどをチョイス。重くなり過ぎないカジュアルなラインナップは、着回しが効き、長く着ることのできるスタイリングを可能にする。ボトムスも、あえて軽いハーフパンツや、7部丈を選び、ロールアップして少年のようなスタイルに。
テキスタイルは、迷彩柄に見える航空写真を加工したもの、タータンチェック。また何度も登場する民族柄は70~80年代のヒッピーカルチャーをイメージした。足元はラフに、ムートンブーツやスニーカー、時には裸足で砂浜を颯爽に歩く。そして、コレクションのフィナーレには「Stand by me」が流れ、少年の頃の記憶を思い返させた。
ショーの後、「今年で2回目になるランウェイショーは、この会場に来ることでしか体感することの出来ないものにしたいと思った。そこに一番魅力を感じた。ネット社会がここまで進んでいなければ、ショーはしなかった」とデザイナーの下野は語った。若かりし頃の記憶をもう一度思い出させてくれるような、忘れてはいけない大切な気持ちを取り戻させてくれるコレクションとなった。