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2012年3月21日、サポートサーフェス(support surface)の2012-13年秋冬コレクションが発表された。テーマは「blur&focus(曖昧と焦点)」。小鳥のさえずりが流れるコンサートホールのような会場に設置されたのはピアノとマイク。何が始まるのかと観客の期待が膨らむ中、現れたのは聖歌隊だった。
聖歌隊が歌い始めると、照明が徐々に明るくなり、モデルが静かな足取りでランウェイに現れた。N字型のランウェイを往復して歩く一風変わった演出は、モデルのシンクロや光の陰影、音楽など会場全体の一体感を大事にしたかったというデザイナーの研壁の工夫だ。服も、カラーパレットをベージュ、えんじがかった赤、グレー、カーキ、マスタードなど秋冬らしい色で揃え落ち着いた雰囲気に。アクセントとしてショッキングピンクを取り入れた。
普段から、服のフロント・バックを意識せず、陶芸家がろくろを回すように360度どこから見ても楽しめるような服作りを意識している、というデザイナーの言葉通り、服の随所に趣向を凝らしたアイテムが披露された。一見シンプルなワンピースは、バックにギャザーを寄せて女性らしいラインを強調。
他にも、フロントとバックで生地を切り替えたワンピースや、前季から続くフロントがロングスカートでバックがパンタロンのアイテムなど個性的な発想の服を、色と素材で上品に仕上げた。また、インテリアの素材を使用したというコブラン織のコートも印象的。「新鮮さを求めた時、プリントではだめだと思った。秋冬だし重厚感のあるインテリア資材が面白いと思った。ジーンズの上にさらっと羽織るだけでもかっこいい」(研壁)。
何よりも空気感を重視したという今季のコレクション。リアルクローズとしても取り入れられるデザインを意識し、雰囲気も服も楽しむことができた今回のショーは、デザイナーの細やかで優しい人柄を感じさせる心温まるものとなった。
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