ジュン・ジー(JUUN.J)の2018年秋冬コレクションが、フランス・パリで発表された。
デフォルメによる空間づくりを得意とするジュン・ジーが、今回はさらに身体との対話に熱心になった。ある一方では空間。もう一方では密着。重ねることで見出したのは、均衡と不均衡が紙一重で調和するワードローブの数々だった。
構築的な洋服の中でもキー素材となったのは、まず一つ目にダウンだ。アウターだけでなく、ハイウエストスカートやマフラーとして異彩を放っている。特に首元のボリュームは今シーズンの特徴的なシルエットのひとつ。そこから裾へと流れるように直線的なラインが築き上げられているのだ。
直線的なラインと言えども、今回は重なりと空気感があるからか、どこか歪みが感じられる。しっかりプリーツのかかったランダムヘムのスカートと、交差するチェック柄の直線はその関係性を如実に表している。不規則に並べられたプリーツが、本来直線であるはずのチェック柄を蜃気楼越しに見た景色のようにしてしまう。これが2つめのキー素材ではないだろうか。
直線というのはシルエット全体からも感じられ、身体をすっぽりと覆うような縦のラインが強調されている。ワイドパンツは裾を引きずるほど長く、そこに同じくらい長いロング丈のウールコートを羽織っている。ラペルまで肥大化されたチェスターコートは、膝丈ほどまであり、その裾からはプリーツの縦線がなびいている。
ディテールでは、紐やむずびのディテールが目に留まる。裾に忍ばせたドローコードは、丸いフォルムを生み出している。一方でただ垂らしたコートの紐は、裾をするほどに長く、今季の特徴的な縦のラインを繊細にも表現しているようだ。