ニルズ(NILøS)は、2018-19年秋冬コレクションを発表した。
今シーズンのモチーフとなったのは、超深海。過酷な環境の中で暮らす、インパクトのあるフォルムや色の深海魚や、地上へと進化しながら向かおうとする生物たちがインスピレーション源だ。ルックの背景に見えるのは、古代の深海の地層が隆起するイギリスの海岸。荒涼とした風景から、打ち上げられた深海魚が連想される。
オーバーシルエットと、大胆に服を横断する、止水テープを施したファスナーのディテールが散見される。大ぶりなダウンコートは、ダウンベストと組み合わせてボリューム感を作り出し、新しいシルエットを描いていく。ベストもコートもダイナミックな印象だが、デザインはシンプル。無駄のない、凛とした存在感を放つ。
ウェットスーツの素材で作ったボンディングジャケットは、シーズンの象徴的なアイテムだ。レザーともナイロンとも異なるハリのある素材感は、シェルターの中で守られているような安心感を生み出す。袖のファスナーを調整することで、様々なシルエットを楽しめる。
スウェットにも、袖から背中を経由し、もう片方の袖までファスナーが通っており、大きく開けるとまるで半身の服のようになる。インナーに、一見断片的にしか見えないほど大きくプリントされた「NILøS」のロゴと相まって、まったく異なる表情のスタイリングに。ファスナー1つで形を変えていく服は、まるで生物が環境に適応して進化していく様を辿るかのようだ。
イエローやオレンジといったカラーが、アウトドアテイストやスポーティな雰囲気とともに目を惹く。イエローで全身を統一したスタイリングは、黒いファスナーや身体にぴったりと密着するリュックのストラップがアクセントとなり、ストイックな印象だ。一方、ブラックでジャケットとパンツを統一したコーディネートに挿し色として現れたイエローは、暗い海底の中で発光しながら生きていく深海魚を思わせる。