バーバリー(BURBERRY)の2018 February コレクションが、イギリス・ロンドンで発表された。
本コレクションは、2002年にクリエイティブ・ディレクターに就任後、長きに渡ってバーバリーのブランドイメージを刷新してきたクリストファー・ベイリーによる、最後のショーとなった。テーマは、過去を振り返り、現在に喜びを見出し、未来に向かうことを意味する「Time」。過去のアーカイブから取り出した要素を再解釈してデザインされたワードローブは、デザイナー自身が、これまでの誇らしい仕事を幸福な気持ちで見つめ直したであろうことを伝えてくる。
クリストファー・ベイリーはバーバリーに就任後、ブランドの象徴であるバーバリーチェックをコレクションから一掃することで新たなブランドイメージを築き上げてきた。過去に目を向けたラストコレクションでは、バーバリーチェックの存在感が再び増し、テキスタイルの様々な箇所にまるでコラージュのように挟み込まれた。
伝統的なチェック柄は、60年代ヒッピームーブメントで流行したダイダイ染めや、ストリートの壁にペンキで殴り描きしたようなカラフルな模様、そして、LGBTQ+コミュニティのシンボルとされるレインボー柄などと組み合わされた。若者の反抗的な文化や、多様性を讃える運動、そうしたカルチャーを背景に持つデザインを敢えて伝統的な柄と組み合わせることで、ポジティブで寛容な精神を伝えている。
柄や模様だけではない。1990年代のアーカイブから復刻したクラシカルなカーコートは、ショートパンツとサンダルの組み合わせでスポーティに着こなされているし、バーバリーチェックを裏地に使用した伝統的なトレンチコートは、レインボーカラーに染まったアヴァンギャルドなロングファーコートに生まれ変わっている。過去の要素を再解釈して刷新させる彼の手腕は、最後まで光り輝いた。
軽やかだった前シーズン2017年秋冬コレクションに登場したシースルーワンピースを彷彿させるようなピースも登場。重厚感のある全体のムードに、スマートなセクシーさを与えた。かと思えば、シースルーの布地を大量に用いたスカートで、下にいくほどボリューミーになるユニークなシルエットも創り出す。アイテム一つ一つのボリュームもさることながら、コートにコートを重ねたり、オーバーサイズのパーカーにムートンジャケットを重ねてはち切れそうなスタイリングをしたり、コーディネートも複雑で重量感たっぷり。クリストファー・ベイリーの有り余る創造力と、ブランドが積み重ねてきた膨大な歴史を改めて提示したようなコレクションだった。