コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)の2018-19年秋冬コレクションが、フランス・パリで発表された。
今シーズンの起点となったのは、デザイナーの川久保玲の心を捉えた「キャンプ」という思想だ。アメリカ出身で小説家、エッセイストとしても活躍するスーザン・ソンタグが唱えるその考え方は“不真面目、悪趣味の中に新しい価値があるのではないか”という発想。彼女の思想に共感した川久保玲は、様々なテキスタイルを使ってこのメッセージを発信する。
巨大で重量級。左右に大きく広がるもの、ゴロンと丸みを帯びているもの。時に花のようなシルエットで、時にジャケットと認識できる“洋服の形”で。コレクションピースはまるでオブジェのような圧倒的な存在感がある。シルエットから共通項を見出すことは困難であるが、テクニックの視点でみると「レイヤー」を統一したキーワードに据えていることは見てとれる。
凹凸、うねり。そういった洋服の表情を引き出す部分には、レース、ニット、オーガンザ、加えてスポンジのように弾力のあるメッシュ地など、テクスチャーの異なるファブリックを断層のように重ね合わせて製作。花の形、雲のような形、不規則な曲線ライン。そういった個性的なシルエットの中から何重にも重なったテキスタイルの内側が顔を出している。
この「レイヤー」のテクニックは、ボトムス、ましてはアンダウェアーの部分でも共通して取り入れられた。引きずるようにのびたスカートには、ガードルなどセクシーなランジェリーがやはり重なり合うようにレイヤードされている。本来洋服の中に隠れている下着が、繰り返される重ね合わせによってパンチの効いた形でランウェイに現れている。
フットウェアは今季もナイキとコラボレーションした。洋服同様に「レイヤー」というキーワードがシューズにも落とし込まれ、ソールは黒と白の素材を層のように重ねた厚底ソールになっている。