ジェニー ファックス(Jenny Fax)の2018年秋冬コレクションが、「Amazon Fashion Week TOKYO 2018 A/W」2日目の2018年3月20日(火)、東京・ラフォーレミュージアム原宿にて発表された。
今季ブランドが掲げたテーマは、「家族」。その中でも、デザイナー シュエ・ジェンファンは、自身の"お母さん"をメインに取り上げ、OL時代から現在までの半生を、色彩豊かに描いていく。ランウェイとなるステージには、シュエ・ジェンファンの妹によって描かれたという、4枚の色鮮やかな絵が飾られており、"お母さん"に見立てたモデルたちは、この絵の周りをぐるぐると旋回する。
ショーの始まりと共に会場に鳴り響いたのは、1980年代にリリースされた、ボーイズバンド・BOOWYの「わがままジュリエット」。昭和の空気を醸し出す、アップテンポな曲調と共に、OL時代の"お母さん"が姿を現した。
モデルが着ているのは、色とりどりのブラウス。肩に空気を含んだように膨らんだ、パフスリーブを採用したものや、モデルが通している袖とは異なる、もうひとつの袖を配したもの、裾の丈を大胆にショートにしたものなど、ひとつとして同じデザインのないブラウスは、鮮やかなカラーに染まりながら、様々なストーリーを伝えてくれる。
散見されたのは、テキスタイルの上に花を咲かせるフラワープリント。ショート丈のワンピースには、四季の花を表すかのように、4色の色違いのプリントを組み合わせた。見る角度から異なる花模様の見える、ロマンチックなデザインは、恋に落ちたひとりの女性の姿を彷彿させる。
ショーの中盤に差し掛かると、ウェディングドレスを纏ったモデルが現れる。ハート型のアップリケを縫い付けたドレスは、歩く度にキラキラと輝き、ハッピーなムードを漂わせる。
しかし、それ以降に登場するモデルたちは、エプロンをモチーフとしたロングドレスや、”お母さん”の体型を表現したという、前方へ不自然にふくらんだスカートなどを纏う。家庭に入り、"母"として生きる1人の女性の姿が表現された。
コレクション全体を通して目を引いたのが、ウィットに富んだ小物アイテム。複数個重ねて首からかけた、お菓子の缶や、赤ちゃんをモチーフとしたポシェット、そしてハイヒールの上に、さらにバンドで留めたデコレーションの"靴"など。
この靴型デコレーションは、シュエ・ジェンファンの"お母さん"の足のサイズが非常に小さいことから、ヒントを得て、ユーモラスに体現されたものだ。