ダイエットブッチャースリムスキン(DIET BUTCHER SLIM SKIN)は、2018-19年秋冬コレクションを発表した。
今季のコレクションは表向きなテーマを設けずに作られている。しかし、全体を見渡してみると散りばめられているのは“裏意味”。一見するだけでは気付くことのできない、遊び心と創意工夫に満ちた仕掛けが随所に潜んでいる。
カットソーに立体的な刺繍であしらわれた“0855”の文字は、ブランドの頭文字“DBSS”を、アルファベットの文字を似た形の数字や記号に置き換えて表記する「LEET(リート)語」で表したものだ。中にスポンジを入れ込んで刺繍を施すことで、より3Dなフォルムの文字が浮き彫りになる。その下に書かれた文字も反転しており、着て鏡の前に立つことで正確に読み取ることができる。
素材のメインとなるのは“毛”。スウェット生地のパンツは起毛させることで柔らかな着心地を叶えると同時に優しい印象に仕上げ、カシミアニットは温かみを感じる滑らかな手触りに。また、サテン地にファーを繋ぎ合わせたブルゾンや端正なストレートのシルエットに仕立てたベルベットのパンツなど、多様なデザインで“毛”をアイテムに落とし込んでいる。
フード付きのファーコートは、裏と表で異なる表情のリバーシブル。シンプルな一面と、墨染めのベルベット、ファー、ナイロンなど様々な素材で切り替えた面を併せ持つ、「意外性」の見えるコートだ。
また、柄が立体的に見えるチェックファーのコートや、起毛させたタータンチェックのコートなど、そのどれもが一面的ではなく、様々な角度から見ることで、手で触れることで、また実際に着てみることで、新たな奥行きや豊かな風合いを楽しめる。
“毛”の柔らかな表現が目を惹く一方、重厚な雰囲気も表現。レザーやデニムといった硬質な素材がコントラストを描き、独特な存在感を生み出す。ライダースジャケットはシルエットをあえてオーバーに作ることでハードな質感を際立たせ、ざっくりと身体を包み込むデニムコートは、そのごわごわとした質感が無骨な印象を与える。同時に、デニムの鮮やかな色味に、ふわっとソフトなファーのスヌードを合わせることで安心感や親近感も生まれ、対照的な要素がスタイリングに絶妙なバランス感をもたらしていく。