パリで発表されたジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul GAULTIER)の2012-13秋冬コレクション。主要なテーマは「Compresssion(コンプレッション、圧縮)」で、廃棄車を押しつぶしたようなデザインが、様々なテクニックとプリントを用いて表現された。
自動車をプレス機でつぶしたり、圧縮させたりして作る圧縮彫刻で有名なフランスのアーティスト、César Baldaccini(セザール)の作風がプリントやデザインに用いられた。革やニットを押しつぶしたようなデザインは、2枚の布を重ねて押さえつけるようにして表現。複数の物が重なり合って一つになるこのコンプレッションというテーマは「Multi Function(マルチ・ファンクション)」というコンセプトに発展し、一つのもので二つ異なる着方が出来るデザインのジャケット、スカート、ワンピースが展開された。
カラーパレットはブラックやベージュなどベーシックな色合いを基調に、ブルー、オレンジ、ピンク、ターコイズ、ゴールドやシルバーなどビビッドでカラフルな色彩を使用。素材にはミンク、フォックス、ラビットなどのファーやゴートやラムのレザー、シルクのジャカードとシフォンを使用し、「80年代のNew York」を表現。当時のNYの街並みを彷彿させるグラフィティプリントは、コレクションを陽気に彩っている。メタリックに輝くグラフィティ模様や、ペイントが流れ落ちているようなデザインのファーも、カラフルで陽気な80年代ポップカルチャーを表現している。
ショーにはアメリカのロックバンド、The Velvet Underground(ザ・ヴェルベット・アンダーグラウンド)の音楽が流れ、バンドの中心的メンバーだったルー・リード(Lou Reed)が以前着用したボンバージャケット"boxy bomber"をアレンジしたスタイルも登場。オートクチュールのような技術とデザインを用い、ロックでワイルドな雰囲気を持つ洗練されたスタイルを披露したコレクションだ。