タロウ ホリウチ(TARO HORIUCHI)の2019年春夏コレクションが発表された。
インスピレーションの源になったのは、ジョージア・オキーフの作品に登場する淡く強い花や骨、風景の美しさ、アグネス・マーティンの淡々と並び連ねる線の重なりに代表される、女性アーティストの強さや繊細さ、そして危うさ。デザイナーの堀内太郎は、彼女たちの作品が内包するこれらの様々な要素をイメージし、コレクションを完成させた。
堀内が自身のイメージを具現化する上で、今シーズン欠かせない要素となったのが、女性アーティスト、ユリヤ・グリャノヴァとのコラボレーション。コートやパンツ、スカートなど、あらゆるピースに、ユリヤが書き下ろした特別なアート作品を散りばめている。
目を惹くのは、美しい1人の女性が描かれたワンピース。「部屋に佇む女性」と名付けられたユリヤのアートを、軽やかなオーガンザに落とし込んだものだ。透け感のある素材が色と色との境界線をあいまいにし、鮮やかなグラデーションを生んでいる。
部屋の中から出ることができないこの女性は、外の世界を物憂げな表情で眺めている。この女性から連想した、室内着を彷彿とさせるパジャマ風のシャツやパンツには、ユリヤの繊細な"顔のデッサン"を散りばめている。
プリーツスカートを鮮やかに彩るのは、シンガポールの植物園から着想を得て描いた作品「様々な国に宿る花々」。オリエンタルなムードが特徴のこの花柄には、ロシアに生まれ、シンガポールに移り住んだという、ユリヤの生い立ちが大きく反映されている。
同様の花柄を採用したワンピースには、シャリ感のあるテキスタイルと、グリーンのサイドラインで、スポーティーな魅力をプラス。異国情緒漂うフラワープリントに、アクティブな要素が交わるその様は、今季の着想源となった女性画家たちの作品さながら、力強くも繊細で、美しい。