トム ブラウン(THOM BROWNE)の2013年春夏メンズコレクションは、パリの化学会館(Maison de la Chimie)の庭園でプレゼンテーション形式で発表された。ギリシャ神話に登場する半獣半人の精霊サテュロスが入場し、続いてシルバーのチューブのようなカバーに覆われたモデル達が登場するという異色の演出でスタート。得意とするアメリカントラッドをベースに、鮮やかな色彩と柄を用いて目も眩むような斬新なスタイルを提案した。
ブルーやレッド、グリーンなどの明るいカラーを、シャツから靴下まで「これでもか」というほど全身に配置した色鮮やかさが特徴的。マドラスチェックのほか、クジラやロブスターなどのマリンモチーフが踊り、見ているだけで楽しげな気分にさせてくれる。サマーコットンツイードやコットンシアサッカーなど軽く通気性のよい夏の定番素材に、きらめくスパンコールやビーズ刺繍で遊び心をプラスした。
今季の特徴は、シャツと半袖ジャケットの上から、ノースリーブのロングジャケットを合わせて、緻密に計算された色彩と柄のミックスを存分に味わえるレイヤードスタイル。裾とウェスト部分に別布がついた短めのショートパンツも見逃せない。身体にフィットしたシルエットなので、ジャケットを羽織ったクラシカルなスタイルに、少年っぽさという外しを加えられるアイテムとなっている。
靴ひもからソールまで、全てをシルバーカラーで統一したウイングチップシューズや、ブランドのシグニチャーカラーである赤、白、青のロープノットをあしらったボタンなど、細部へのこだわりにも注目だ。クレイジーな雰囲気さえも匂わせる色彩とモチーフ使いの中に、幼き日の鮮やかな記憶をぎゅっと詰めこんだような、温もりを感じさせるコレクション。