サポートサーフェス(support surface)の2019年春夏コレクションが、2018年9月10日(月)、上野・東京国立博物館 表慶館で発表された。テーマは「Motion 軌跡のデザイン」。
東京国立博物館 表慶館の内部に現れたランウェイ。重要文化財にも指定されている、この特別な場所での開催は、デザイナー研壁宣男がその建造物としての美しさに惹かれ、10年以上前から切望していたという。
今シーズンを紐解く鍵となるのは、布を纏った女性の"所作"。研壁は、人が動作することによって動く布の"余韻"を捉え、布の軌跡をデザインする感覚で制作を進めたと語る。"静"に焦点を当てた2018-19年秋冬コレクションとは対称的に、軽やかで上品な"動"に着目したピースを展開していく。
ドレープをたっぷりとったキャミソールブラウスや、サイドに深く切り込みを入れたスプリングコート、大きくタックの入ったパンツは、モデルである女性たちが歩くたび、肉体に寄り添うかのように美しく揺れ動く。ハリ感、落ち感、軽やかさ、そのすべてを兼ね備えたピースを完成させるため、テキスタイルの選択にもこだわった。
上品なムードが漂うコレクションにアクセントを加えるのは、アクティブでスポーティーな要素。スポーツウェアをファッションとして取り入れることが当たり前の時代に、スポーツブランドでは成し得ないスポーティーなエレガントウェアを生み出したい、という研壁の強い想いが込められた。
男性用の作業着であるニッカポッカにインスピレーションを得たボリューミーなボトムスには、軽やかな素材を採用することで品格ある佇まいに。スポーティーなジャンパーにはパフスリーブを取り入れることで、フェミニンな印象に仕上げている。
足元には一貫して、クラシカルな靴の作りを持ちながら、スニーカーに見られる蛍光色を配した、存在感溢れるシューズを合わせた。
ショーが中盤に差し掛かると、鮮やかなパターンに彩られたピースが続々と登場し、コレクション全体にリズムを生んでいく。爽やかな水玉模様のシャツワンピースや、オレンジを基調とした花柄のジャケット、ラメプリントが印象的なロングスカート、光沢感のあるストライプパンツ...洋服のフォルムや素材感を引き立てる鮮やかなパターンが、ショーを見る者を最後まで惹きつけ、魅了していた。