アンリアレイジ(ANREALAGE)の2019年春夏ウィメンズコレクションが、フランス・パリで2018年9月26日(火)に発表された。
「日常と非日常の境界線」をテーマにクリエーションを行うアンリアレイジは、これまで対極にあるもの狭間を様々な形で表現してきた。今季のテーマは「クリア(CLEAR)」。光を完全に吸収する黒とその対極にある光を完全に透過する透明の2色を繋ぐ。また、テクノロジーにフォーカスを当てて創作活動を行ってきた彼らであるが、今季はその対極ともいえる手仕事にも着目。人の手がなければ完成しえない繊細な装飾もポイントだ。
黒と透明をコネクトするツールとして起用したのは、三井化学と共同開発したフューチャリスティックな素材・クリアブラックフォトクロミックだ。このマテリアルは太陽光にあたると真っ黒に変化し、蛍光灯の下では黒がだんだんと透けていき透明に変化する。
このクリアブラックフォトクロミックを使ってボタンやスタッズ、パール、スパンコールなどを製作。ドレスや2ピース、コートなどには、円形や花の形、三角、四角など様々な形のパーツが1着あたり5000以上施されている。歩みに合わせて“ジャラジャラ”と揺れ動くさまは、洋服というより芸術作品に近い感覚だ。
ランウェイに登場した時は黒だった洋服も、時間とともに徐々にその色を薄め、淡いグレーのような色味に変化する。さらに、ファーストルックからの7体はフィナーレで再登場するのだが、その時にはほぼ透明に近いクリアな姿に変化していた。
また、色の変化だけでなくテキスタイルの変化もショーの中では紹介された。ミリタリージャケットやデニムジャケット、トレンチコートなどの定番アウターが、途中から透明に変わるというアウターシリーズ。頭に近い襟口などは不透明で本来の色彩をしっかりと持っているが、下にいくにつれてその色彩はホロホロとくずれるように曖昧になり、裾にかけては透明に変化している。カラーだけでなくテクスチャーそのものも連動させて変化させ、ハリのある生地がコットンのようにソフトなテキスタイルへと姿を変えるというから驚きだ。
フットウェアにはニュースが2つ。一つは、オニツカタイガー(Onitsuka Tiger)とのコラボレーションスニーカー。これにもクリアブラックフォトクロミックが起用されているので、洋服同様に色の変化が楽しめる。
また、シューズデザイナー竹ヶ原敏之介率いるオーセンティック シュー&コー(AUTHENTIC SHOE & Co.)がシューズデザインを開始。プラットフォームのレザーシューズなどが初披露されていた。