ヴァレンティノ(VALENTINO)の2019年春夏ウィメンズコレクションが、フランス・パリで発表された。
ブラック、今季ヴァレンティノは“すべての色を混ぜ合わせたエネルギッシュなカラー”として黒をキーカラーに据えた。厳格さ、正統派、クラシック、恐怖…黒という色は様々な要素を想像させてくれる。ファーストルックから14体目まで、あらゆるカラーそして装飾、柄を全て捨てこの一色だけで勝負した。
反して、シルエットは“これでもか”というほど多様性に富んでいて、ドラマティックに移り替わる。肩を出し大きく広がったワンショルダーのドレスから始まり、プレーンなIラインを楽しむロングドレス、パフィーな膨らみを楽しむミニドレス、マントのような広がりを持つドレス。特に、ボリュームの遊びは多用され、ショルダーやスカート部分など様々な場所が膨らみ、楽し気に動き回っている。
また、ヴァレンティノらしいウィットに富んだクチュールの解釈もポイント。レッドカーペットの似合うエレガントなドレスに、ロゴ入りトップスやトレンチコートなど、親しみのある“リアルクローズ”が交わっていくのだ。そのコンビネーションは意外性をもたらすとともに、興味・関心を引き付ける。優美なドレスルックに交じったVロゴのビッグベルトも同様だ。
シューズはフラットで、リラックスムードを漂わせて。そこに“似つかわしくない”フェザーをデコレーション。オンとオフ、真逆の要素が一つのピースで融合する様は、メゾンの自由な精神を反映しているように見える。
フィナーレに向けては、晴れやかな気持ちにさせてくれるカラフルなピースが揃った。建築物やアート作品を想起させる線対称なモチーフが、色とりどりのパレットで描かれ、ドレスの上にのる。豊かなボリューム感、フェザーやスパンコールが見せるプレイフルなマインド、扇状にひらいたプリーツが届ける華やかさ。黒一色でしっとりと始まったショーの印象は劇的に変化し、ファンタジックなイメージへと変わる。