バレンシアガ(BALENCIAGA)の2019年サマーコレクションが、フランス・パリで発表された。
「ファッションショーは、人々を夢中にさせるようなものであってほしい。」アーティスティックディレクターのデムナ・ヴァザリアがこの考えのもと進めたショーは、ビジュアル・アーティストのジョン・ラフマンとのコラボレーションによるもの。天井から壁、床まで会場全体を包み込むように映像作品を流し、音楽とともに時の移ろいに合わせて変化させた。
そして、デムナがもう一つ掲げた目標は、クチュールを着心地のよいものにすること。ストリートテイストを取り込むことで“洋服が売れている”バレンシアガにとっては、チャレンジングな試みともいえる。いまを愛するデムナは同時にメゾンの歴史も愛し、メゾンにとってアイデンティティでもあるクチュールをモダンに昇華させたのだ。
Cシェイプと名付けられた新しい側面からのシルエットが登場。特徴的なのは、シャツのドラマティックなスタンドアップ・カラー。スカートは前に流れるような立体的なシルエットになっていて、サイドから覗くと全体でCのシルエットを描くユニークなフォルムとなっている。
クチュールといえば…のドレスは、布地と身体との空間そしてショルダー、クリストバル・バレンシアガが大切にしていた2つのポイントが垣間見えるよう。ストラップドレスは、ボーンが入った肩のストラップだけが身体に触れている面白いデザインで、ドレスのボディ上端に入れられたボーンによりドレス地と身体の間をふわりと風が通り抜け、歩みにあわせてゆらゆら、ふわふわとテキスタイルが揺れ動く。
フィナーレに登場したドレスは、クリストバル・バレンシアガのドレスを想起させるようなボリューム。エレガントな素材に、バレンシアガの文字が様々をフォントで並べたグラフィックのプリントの組み合わせが、クチュールを昨今の⼈々の着⽅に適した⽅法で組み替えるという今季のテーマを体現している。
3Dモールディングは今季も健在。ドレスは、まるで人間の型をとったように立体的で、胸元は膨らみ腕周りは細く、ボディにぴったりフィットするようになっている。ゴールドチェーンをプリントしたドレスは、チャイナ服風のアジアンテイストな仕上がり。手の位置にはジップ付きのポケットもついていて、纏う人のことを考えた機能性にも富んでいる。