ミュベール(MUVEIL)の2019年春夏コレクションが発表された。テーマは「LA LA RAIBOW LAND」。
今季の主役は、サバンナの草原や凍てつく雪原、広大な海や湖で暮らす"生き物"たち、そして大地に根付く"草花"たち。ありとあらゆるピースに、プリントや刺繍でプレイフルにあしらわれたこれらの動植物...実は絶滅の危機に瀕している。
今シーズンのクリエーションに取り掛かる上で、デザイナー中山路子の目に留まったのは、いくつかの写真集。『PHOTO ARK・動物の箱舟』や『ENDANGERRED・絶滅の危機にさらされた生き物たち』に収められている、美しく、頼もしく、個性的な"絶滅危惧種"の生物たちに、強く惹かれた。
"ゼツメツキグシュ"という悲しい響きとは裏腹に、愛らしい表情を見せる生物たち。深刻な問題であるのは間違いないけれど、もっと楽しくハッピーに、絶滅の危機に瀕している生物たちと人間たちとが共存できる方法を考えていきたい。今シーズンのピースには、デザイナー中山の、そんなポジティブな思いが込められている。
トップスには、キツネザルの仲間コクレルシファカやホッキョクグマといった動物たちが、楽し気に暮らす姿をプリント。彼らはみんな人間のような仕草をしていて、そこには人間も動植物も"みんな同じ"という中山の考えが見て取れる。色とりどりのビーズやスパンコールなどを複雑に刺繍することで、立体的かつ表情豊かに仕上げた。
グレンチェックのパンツやジャケット、ワンピースには、ビーズで形作ったエビやバッタを散りばめて。シースルーのジャケットには、サンゴの1種フロリダパーフォレイドグラドニアの装飾を施した。
ピースを彩るのは、大地を彷彿とさせるブラウンや、動物や草花のカラフルな色彩、氷のホワイトなど、自然界からインスピレーションを得たカラー。コレクション全体を俯瞰して見ると、これらの色が複雑に重なり合い、様々な生き物が命を育む地球を表現しているかのように感じられた。