ミュベール(MUVEIL)の2025年プレフォールコレクションが発表された。テーマは、“La Campanella”。
国籍を失い、長く貧困の日々を過ごし、聴力を失うなど様々な困難にあいながらも、決して夢を諦めなかった世界的ピアニスト、フジコ・ヘミング。幼い頃からピアノの才能を見せつつも、華々しいデビューを飾ったのは晩年のこと。どんな時でも希望を忘れず、ピアニストになるという夢を叶えた不屈の精神を持つ彼女は、ピアノが中心の生活を送りつつも身の回りの小さな愛にも、優しく穏やかに心を注いでいた。
ミュベールの2025年プレフォールコレクションでは、そんなフジコの内面の美しさに着目。ロマンティックな少女性、クラシックなエレガンスを織り交ぜた、大人の装いを提案する。
今季は、シックなカラーリングを中心にクラシックコンサートへ足を運びたくなるような、エレガントなルックで構成。レイヤードを好んだフジコのファッションを着想源に、季節やシーンに合わせた着こなしを楽しめるアイテムを考案した。たとえば、ピアノのカバーを思わせる取り外し可能なケープの付いた、レースカバーワンピース。異なるレースの模様を組み合わせた表情豊かなケープが、大きなバックル付きベルトが目を惹くクラシカルなドレスにさらなる華やかさを添えている。
フジコのお気に入りの花“ローズ”は、“バラ巻き職人”によるバラコサージュとしてドレスやTシャツを彩る。1つ1つ丁寧に巻き上げたバラコサージュを配したジャンプスーツには、たっぷりのフリルで覆ったチュールブルゾンを合わせて。立体的な装飾が、まるで花々が咲いているかのように生き生きとした躍動感を生んでいる。
京都をはじめ、アメリカ・サンタモニカ、フランス・パリと世界中に居を構えたフジコ。各家では、愛する動物と共に暮らしていた。犬や猫たちは、ニットやファーといった温かみのある素材でふわっと表現されたほか、シャツワンピースには犬たちの刺繍をオン。シックにまとめあげているのに、ゴールドメタルの目を配した犬たちは愛らしい。フジコにたくさんの愛情をもらい、またそれ以上の愛を返していたことだろう。