ミュベール(MUVEIL)の2024-25年秋冬コレクションが発表された。
20世紀を代表する詩人の1人、金子みすゞ。童謡詩人と呼ばれる彼女の作品では、ふくよかな言葉を巧みに用いて喜びや悲しみを謡っている。
ミュベールの2024年秋冬コレクションでは、金子みすゞの詩に登場するモチーフにフォーカス。ミュベールらしい手仕事が感じられるアイテムに、優しく芯の通った、それでいて子どもの頃に読んだ絵本を思い出すようなみすゞの教えを、コレクションの中に散りばめている。
コレクションには、みすゞの詩に登場する「星」や「たんぽぽ」「さくらんぼ」「露」といった印象的なモチーフが点在する。中でもツイードのベストワンピースは、スパンコールを用いて「露」の煌めきを表現。ところどころにスパンコールを配すことで、朝露に濡れ太陽の光を浴びて輝いてるかのような情景を映し出した。
「さくらんぼ」は、壁紙のような小紋柄のオリジナルプリントに。食べられないようにかくれんぼをしている様子を綴った『りこうな桜んぼ』から着想を得たものだ。お利口なさくらんぼが、鳥や子どもたちに食べられまいと葉の陰に隠れている。しかし終いには夜中に地面に落ち、黒く大きな靴に踏みつけられてしまう...。
そんな切ない最後を迎えるさくらんぼであったが、かくれんぼをしている楽し気な様子を描いたプリントが、ワンピースなどに採用されている。
「たんぽぽ」も目を惹くモチーフのひとつ。ビニール素材の花弁と、毛糸で花弁の筋を描き立体的に表現し、ブラックのファーコートにあしらった。どこか温もりが感じられるハンドクラフトとなっており、明るく華やいだ雰囲気をプラスした。
なお、今シーズンのアウター類にはすべて、Mチェーン柄のオリジナルジャカードを裏地に使用。タグにもチェーンがついており、ハンガーにかけた際にも心躍るポイントとなっている。
しんしんと降り積もっていく雪は、チュールのドット柄で表現。トップスやロングカーディガンとして登場し、エンボス加工で花々を表現したオリジナル生地のスカートと合わせた。
毎シーズン人気を集める動物モチーフには、みすゞの詩の中に登場する犬になぞらえ、柴犬を採用。愛らしい表情の柴犬の毛並をふわふわのファーで再現し、カゴバッグやニットに落とし込んでいる。