ミューズ(MUZE)の2019年春夏コレクションが2018年10月17日(水)に東京・渋谷ヒカリエにて発表された。前シーズンから引き続き、今季もまたパラドックストーキョー(PARADOX TOKYO)と合同でランウェイを披露した。
今季は、日本体育大学の伝統的な「エッサッサ」の応援を受けて、ショーをスタート。その熱気は、最後まで変わらず、パラドックス トーキョーの後に登場したミューズにも、力強い応援がこだましていた。
ミューズのランウェイには、コラボレーションが豊作だ。それを最初に主張したのがファーストルックに登場した、サッポロラガービールとのコラボレーションによるストリードムード満点のセットアップ。開襟シャツの中にはカッターシャツを合わせていて、さらにはネクタイをピシッとしめている。中盤に登場したベルトのようにして巻いたスカーフは、クラシックなチェック柄のジャケットとクロップド丈のタンクトップでセット。そこには新旧が往来していて、意外性のある組み合わせからは違和感を感じざるを得ない。
でも、そこには大切な思いが込められている。サッポロラガービールは、赤星の愛称で親しまれてきた、日本で最も歴史のあるビールブランド。今季は、テーマをフューチャークラシックと掲げていて、古きよきもの伝統的に繋げていこうという考えの元スタートしている。だからこそ、日本で最も歴史のある“赤星”を採用したのだ。また、海外のものを日本らしく、という想いも今季の重要なポイントで、そのために“赤星”の懐かしいパッケージたちはすべてスカーフ柄のように再考されている。
そのテーマを踏襲しているのは、もうひとつのコラボレーションでも同じ。それがトロイ(TOROY)。トロイは、パイプマークのワンポイントブームを巻き起こし一世を風靡したアメリカンカジュアルブランド。今シーズンはそれを、大胆にトップスにあしらったり、ブルゾンのバックスタイルに配したりして、どこかレトロな雰囲気を纏わせた。それを現代的にしたのは、ディテールやカラーパレットで、特にトロイのパイプマークを配したブルゾンは、ビビッドパープルとオレンジのビビッドカラーでプレイフルかつアクティブに表現した。
サッポロラガービールとトロイに共通するのは“昔から愛されているもの”という点だけでなく、これを世に広めた開拓者であるということもそうだ。ここには、デザイナーの柴原寛と石田正敏が今後、自分自身も開拓者として歩めれば、という願いをも込めているという。
そのほかにも豊田通商とタッグを組み、透湿防水性のある独自素材「ゼラノッツ」を採用したトレンチコートやレインバッグなども提案。また、雪駄やタビなどの日本らしいものを登場させることで、海外のものを日本らしく取り繕う今季のムードを絶やさなかった。象徴的なコラボレーションが多数登場するなかでも、今季のテーマはひと目で分かるほど明確だった。
コラボレーションだけが豪華なわけじゃない。今季はランウェイを歩いたモデルたちも個性に溢れていた。パラドック トーキョーでは日本体育大学の学生が登場したのに対し、ミューズはとびきりのサプライズゲストを呼んだ。
特に観客からも驚きの声が上がったのがテリー伊藤。彼を選んだ理由について、「古き良きものを今に、というテーマを象徴するには、これまで変わらず多方面で活躍し、今後もエンターテインメント界を開拓していくであろうテリー伊藤さんが適任だった」とデザイナーの2人は語った。なお、そのほか木村俊作も同じくランウェイに登場している。