ビューティフルピープル(beautiful people)の2021-22年秋冬コレクションが、東京・渋谷ヒカリエで2021年3月15日(月)に発表された。今季は、ブランド初のデジタルショーとフィジカルショーを融合させた特別なシーズン。先にパリ・ファッションウィークで発表されたショーと対になる形でランウェイショーが行われた。
テーマは「ダブルエンド=両頭使い」。太さの異なる2種のペンが1つになったダブルエンドマーカーのように、1着の洋服で複数の楽しみ方ができたなら?そんなポップなアイデアから生まれた洋服は、90度、180度、270度…とくるっと回転させたり、首や腕を通す場所を変えることによって、フォルムが劇的に変化する。袖は腕、襟元は首を通すところといった当たり前を一から壊して再構築することで、ファッションの楽しみ方を大きく広げていく。
ランウェイショーでは、同じ服やアクセサリーを着用したモデルがペアで登場。多くのピースはジェンダーレスにデザインされているので、同じアイテムを男女でスタイリングしていることも。インナーやアクセサリーをチェンジするだけでなく、共通アイテムそのものが上下逆さまひっくり返って提案されるのが特徴的で、「次はどんな風に変わるのか…?」と、見る者にワクワクした気持ちをもたらしてくれる。
大きな襟が特徴的なセーラーカラーのアウターが、一方ではスカーフ一体型のクラシックなアウターになっていたり、頭をすっぽり覆うウールコートのフードが、一方ではヒップラインでポンポンと揺れ動くチャーミングなデコレーションになっていたり。ケープはフィッシュテールコートに、襟はペプラムフリルに、フライトジャケットはデッキジャケットに姿を変え、中には絵柄そのもので変化しているピースも存在する。
シルエットやデザインは遊び心たっぷりだが、あくまで基盤はクラシック。プレタポルテの成長と発展をものづくりのベースとしているビューティフルピープルならではの視点で、さまざまな年代のファッションデザインに焦点が当てられる。
ダブルブレストのチェック柄ジャケットやパンツスーツのセットアップ、ライダースジャケット、オーバーオール、トレンチコートなど、フォーマルウェアからワークウェアまでさまざまなピースが、トレンド感あふれるシルエットや、プレイフルなディテールアレンジで、新しい装いに生まれ変わっている。
テーマの「ダブルエンド」を具現化した演出も、フィジカルショーならではの面白みだ。会場中央には、透明なピラミッド型のオブジェと上下対極的な逆ピラミッドが設置され、モニターを使って同じ映像を流した。ピラミッドの角度が変わると、中の映像も上下逆さに変わり「ダブルエンド」というテーマを詩的に表現する。ショー中盤からは2つの楽譜が映し出され、会場にあふれたピアノ音楽も上下逆さのメロディを奏でたという。