アナ スイ(ANNA SUI)の2019年春コレクションを紹介。
2019年春のテーマは“旅への渇望”を意味する「Wanderlast」。桃源郷、楽園、理想郷と言えるような空想の世界へ迷い込んで楽しむこと、旅心、探検、自由、発見といった要素がインスピレーション源になっている。ランウェイ上には、ハリウッド黄金時代に活躍した装飾デザイナー、トニー・デュケットの世界観を思わせる、幻想的なグランドバザールが登場。ゴールドで縁取った屏風で仕切られた店や、タッセルで装飾したパラソル、商品を並べたアンティークの押し車などを配置し、神秘的なマーケットを演出した。
目に留まるのは、ジャカードやプリントで表されたきらびやかな植物柄。特に、キーカラーであるグリーンを使い、生き生きと植物が繁る様子を描き出している。透け感のあるブラックのオーガンザに、メタリックな糸を用いて可憐な花々を施したドレスや、黒地にゴールドやレッドも織り交ぜながら、森林に生える葉のような緑を広げたドレスなど、どこか浮世離れしたような自然の表現が散見された。
光沢感のある糸でシアーに仕立てたピンクのジャカードドレスには、絢爛な花がダイナミックにあしわれている。ライトなピンクと穏やかなレッドで表現された花は、緩やかなシルエットに乗せられることで独特な浮遊感を感じさせる。
オリエンタルな雰囲気が非現実的な感覚を強調する。シノワズリ風の鳥と花を描いたドレスは、直線的なIラインのフォルムに深めのスリットを入れ、チャイナドレスのようなディテールが取り入れられている。幾何学模様をビーズ刺繍で表現したワンショルダードレスは、ラメ糸で織られた軽やかな素材で仕立てた1着。東洋美術を彷彿させる繊細なタッチで描かれているのは、パームツリーやトロピカルなフルーツだ。
装飾的で繊細なピースの一方で、アクティブな印象のアイテムも登場。総プリントのジャンプスーツや、大きなポケットをフロントに施したジャカードのフィッシングベスト、オーバーサイズで仕立てたイエローのジャケットなど、デザインは華やかながらも、キャッチーで活動的なウェアが随所に見られた。また、足元にはスニーカーやテバ(Teva)とのコラボレーションサンダルを合わせ、“探検”や“旅”に付随するワクワク感を漂わせた。