ダブレット(doublet)の2019年春夏コレクションのテーマは「1,2,3,Dー!」。この茶目っ気たっぷりのテーマから、3Dに焦点を当てたコレクションだ。
ポップで楽しいカラーパレットのなかには、実は3Dの要素がいっぱい。アロハシャツには、ピンクからグリーンに移り変わるカラーパレットでPINK(ピンク)とGREEN(グリーン)のロゴをあしらった。ロゴからは刺繍糸をあふれ出させるように立体的に施して、ディテールで3Dを表現している。
3D要素は探せば探すほど目に留まって、例えば、随所に採用したレンチキュラーによるモチーフもテーマを象徴している。さらに、赤と青の”ANAGLYPH”のロゴ入りトップスはそれ単体ではなく、3D眼鏡付きという3Dが体感できるセット仕様だ。“ANAGLYPH"、つまりは赤と青緑のレンズの眼鏡を通して見ると像が立体的に浮き出す仕様のことを指すのだが、まさしく今回のTシャツではそれが実現されている。思わず笑ってしまうようなアイテムに、デザイナー井野のファッションを楽しむ心が表れている気がする。
クリア素材のレイヤードで魅せる3Dの世界はどうだろう。スタジャンは、身頃部分にPVC素材を重ねて、通常にはない“錯覚”を生み出した。また、ブルゾンやコートは、スケルトン素材を用いることで、インナーの世界を蜃気楼越しにみるかのようにぼんやりと映し出す。
トップスはクロップド丈かつワイド幅によって、まるで身体から飛び出るようなシルエットを築いている。ジャケットはオーバーサイズで、袖はまるで羽根が生えたみたいに大きく広がっている。ボトムスの中には、クレイジーパターンのものや、わざと大きめに身幅をとったもの、さらに立体裁断のデニムパンツなど提案。身体と洋服の間の空間作りもまた今季のテーマにリンクしている。