サンローラン(Saint Laurent)の2019-20年秋冬ウィメンズコレクションが、フランス・パリで2019年2月26日(火)にメンズコレクションと合同で発表された。
ショー会場は、昨シーズン同様、パリ有数の観光スポット・トロカデロ庭園。エッフェル塔がキラキラと輝く20時に開始時間が設定されていたが、今季は特設されたショー会場で行い、エッフェル塔の光を遮断。変わるように、観覧席と対面のミラー奥に設けられライトが、真っ暗な空間の中で、エッフェル塔に負けず劣らず、キラキラと輝いていた。
「暗闇と光」ーこれは今季のサンローランを象徴する一つのキーワードだろう。メゾンのコードであるブラックで統一されたレディトゥウェアには、サテン地などシャイニーなファブリックやスパンコールといった光を放つ装飾が、繰り返し使用され、「暗闇と光」の関係性を表現している。
フィナーレにかけてはブラックライトの演出を用意。ブラックライトに照らされた洋服たちは、漆黒の世界でネオンイエローやオレンジ、グリーンなどの鮮やかなカラーを発光しながら浮かび上がり、ドレス、コート、パンプス、アイウェアのシルエットを露わにさせた。
また、クリエイティブ・ディレクター アンソニー・ヴァカレロの新しい試みも印象的だった。就任時からずっと追求していた、タイトフィット&ショートレングスを封じるかのように、ファーストルックでは、モデルの華奢な身体に合わないボリューミーなロングコートを投じた。肩周りを隆起させたスクエアショルダーが特徴的で、素材は厚手のウールのようだ。スリムパンツ&シースルートップスの“いつものスタイル”を覆い隠すように登場させた、男性的なアウターは意外性があり印象深い。
とにかく極短であることを追い求めていたボトムス群にも、変化。膝下まで伸びたタイトスカートとロングブーツのコンビネーションで、肌をみせないスタイリングをアクセント的に起用していた。レオパードやゼブラ模様と毛足の長いファー、異素材ミックスのアニマル柄スカートは、黒一色の世界ではやけに存在感があり、強いパワーを持っているように見える。
スカートルックでも、膝下丈のティアードスカートを登場させ、ロングスリーブトップスとマッチさせることで、これまでのアンソニーとは異なる肌の露出の少ないスタイリングを披露していた。