ザ ダラス(THE Dallas)の2019-20年秋冬コレクションが、2019年3月18日(月)に発表された。会場は、昭和初期に邸宅用に建てられ、現在はフレンチレストランとして運営されている西洋館ミュージアム 1999 ロアラブッシュ。アンティークの芸術品など、こだわりの調度品が並んだ雰囲気のよい空間だった。
テーマは、感情を意味する「エモ(EMO)」。情報が萬栄するネット社会の現在、人々は感情を表に出せていないのではないか、本当の自分の感情を見失っているのでは、“エモイ”という言葉一つで気持ちの動きを処理していないか…そういった現代社会に対する問いへの答えとしてとデザイナーの田中文江が掲げたキーワードだ。目指したのは、ファッションで人々の感情を動かすこと。
田中の熱い思いは、サプライジングな演出で見て取れた。美しいオペラが流れ“洋館らしい”趣のある雰囲気で観客を出迎えていたのに、ショーの開始と共に流れるのはリズミカルなサウンド、フィナーレにかけては“なんとかなるさ”の意味のフレンチミュージック「ケセラセラ」を流して、意表をついた選曲で感情を揺さぶる。
装いやヘアスタイルも、アニマル柄やファーののったボリュームヘアなど“洋館に似つかわしくない”パンチの効いたスタイルが多かった。
また、今季はザ ダラス初のフレグランスを同時に発表。1年以上かけて作り上げたオーガニック パフュームの名は、ダンテ神曲からとった「深い森」。ここからイマジネーションを膨らませて、暗い森でもたくましく生きる物の代表として、ヒョウが選ばれ、レオパード柄の装いが生まれたという。
コレクションでは、アニマル柄だけでなく力強さを感じさせるピースが目立った。特に、パワーショルダーのトップス。肩パット入りのカットソーは重量感のある肩が印象的であり、起毛のトップスも斜めにカットアウトすることでピンと張ったショルダーを作っている。チェック柄のテーラードジャケットは、エナメルレザーをショルダーにアタッチすることで、力強さを表現している。
ザ ダラスならではのアクセサリー使いは印象的。流れるような大振りのピアス、W使いのブレスレット、ジャラジャラと動き回るフリンジリングなどが、強さの中に色気や女性らしさを運んでいた。