アカリ ミヤヅ(AKARI MIYAZU)の2019年秋冬コレクションが、2019年3月22日(金)、東京・渋谷ヒカリエにて発表された。テーマは「lost&found」。
ブランドのデビューコレクションを発表した前季に引き続き、2019年秋冬コレクションも“生命”が1つのキーワードに。無垢な少女が、痛みを知りながらも本質を探る旅に出るという物語を思い描いたデザイナーの宮津が、世に翻弄されていく少女の様子をワードローブで表現していく。
少女の不安定な心模様を描いたのは、今季のワードローブにふんだんに使用されたディテールの“ギャザー”である。トップスやボトムスからアウターまで、波打つように抑揚のついたギャザーがあしらわれている。中には、キャミソールドレス×パンツのレイヤードスタイルにも、ギャザーをふんだんにあしらったルックも。本来シンプルな洋服さえも、このディテールを重ねることで、予測不能なフォルムを描き、複雑な構造に見せている。
また軽やかな素材に、かっちりとしたウールを重ねるなど、相反する要素の素材が1つのピースまたはルックに使用されていたのも今季の特徴である。前身頃を繰り抜いたような厚地のカーキのロングコートには、ヌーディーで軽やかなスカートをスタイリング。またコートの下には、裾がちぎられてしまったかのようなベストのようなものがレイヤードされていて、風を含むたびに、痛々し気にその裾がひらりと舞っている。
カーキー、ベージュ、グリーン、アイボリー、レッド…複数のカラーと素材の組み合わせがみられたショーだったが、その終盤には純白のシフォンドレスを纏った少女のモデルが現れる。山あり谷ありの人生を潜り抜けた自分の少女時代も反映していると語るデザイナー宮津だが、その困難を乗り越えた時、どうやら少女は何かの答えを見つけ出したようだ。軽やかシフォンは、後ろの壁を映し出すほどクリアで、前述した波打つようなギャザーのうねりはすっかりと姿を消していた。